<犯人は、この中にいる!>

 

金田一「真犯人『沖田総司』は、この中にいる!!」

 

と、金田一は事件関係者達に言った。

しかし事件の関係者達は、

 

近藤「どういうことですか?

    この誘拐の目的は、

    金じゃなく山南さんを殺す為だなんて・・・!」

 

土方「おまけに犯人が俺らの中にいるだと!?お前正気か!?」

 

永倉「そもそも俺らは新撰組隊士と同姓同名ってだけで、

    お互い知り合いでも何でもないんですよ?」

 

新見「そーよ!苦労して一日中電車で走り回されて、

    それで犯人扱いなんてちょっとひどすぎない?」

 

斉藤「だいたい、あの時居場所がはっきりしてた俺らに、

    山南さんを殺すなんて無理でしょ。」

と口々に言った。

 

しかし金田一は、

「確かに一見すると最も殺人容疑者から遠く思えるのが、

 ”今回身代金の受け渡し役だった貴方達”だ。

 あんな目立つ格好で電車を乗り継げば、

 いやがおうにも目につくし、

 予想外の行動などできるもんじゃない。」

と言い、

土方「だったらどうして俺らの誰かが犯人だなんて・・」と、

金田一に聞くと、

金田一は、

もっとも犯人から遠い存在だからさ。と答えた。

 

金田一「この誘拐事件は、”身代金目当て”と考えるには、

     不自然な点が多すぎる。

     その一つが、

     身代金を””ではなく”警察”に求めてきたことだ。

     単純に金が欲しいなら、

     『警察には言うな』と言って、

     大金を用意できそうな””を脅迫するだろ?

     まぁ『金』目的というより『愉快犯』に近いのかな?」

と言い、さらに明智警視

 

「確かに大胆不敵な警察への挑発行為、

 緻密な計画で大勢の人間を翻弄する辺りは、

 まさに『愉快犯』なのでしょうが、

 それにしてもやはり、ちぐはぐ感は否めませんね。

 人質を客人のように丁寧にもてなすかと思えば、

 身代金受け渡し人はあっさり殺してしまう・・・

 犯罪心理プロファイリングの観点から見ても、

 この犯人の行動には明らかに矛盾があります。」

 

これについて金田一は、「逆から見ればスッキリする。」と言った。

 

金田一「犯人が全くの『外部の人間』なら、

     こんなまどろっこしい手を使い必要はないが、

     もし『内部の人間』が犯人だとすれば…?

     この、一見『愉快犯』のように見える

     奇妙な身代金引渡し作戦は、

     自身も共に行動することで、

     確かなアリバイを確保しつつ、

     確実にターゲットの山南敬助を殺す

     『殺人劇の舞台』だったとしたら・・・

     そう考えたら、ばらばらだったパズルのピースが、

     ぴたりと一つの形になったんだ。」

 

今までの金田一の話を聞いた斉藤は、

「だとしたら、俺達を見張ってるかのように来てたメールは・・・」

と聞くと、明智警視

「それは、技術的には決して難しい事では、ありませんよ。

 簡単なパソコンのプログラムで、

 時間が来ると自動送信されるように

 仕込んでおけばいいんです。

 あらかじめ考えた通りに行動させるには、

 最初に立てたプラン通りにメールを送信するだけで済む。

 何しろ日本では、

 電車の発着は極めて正確な時間に行われますからね。」

と答え、金田一

 

「たとえトラブルで多少ずれが発生したとしても、

 各々が人質の安全を考えて、

 必死に帳尻を合わせてくるだろうことも、

 犯人の計画には織り込み済みだっただろう。

 どのみち『誘拐事件』そのものは失敗に終わるんだからね。

 最終的に吉祥寺駅の井の頭線改札前の広場に

 全員が揃えば、御の字くらいに考えてたんだろうな。

 そうだろう?」

 

と、金田一真犯人『沖田総司』であろう人物に聞いた。

 

<真犯人『沖田総司』の正体>

 

金田一永倉新八!」

 

金田一が聞いたのは、永倉新八

 

金田一「あんたこそが誘拐事件に見せかけた巧妙なトリックで、

     山南敬助を殺害した真犯人!『沖田総司』だ!」

 

と言い、関係者達は驚きを隠せなかった。

しかし永倉は、

 

「ちょっと待ってくれよ。

 何を言い出すのかと思ったら、俺は善意で手伝ったんだぞ?

 君の従姉妹を助けるために、

 それを犯人呼ばわりとは、あんまりじゃないか!?」

 

しかし金田一

「お芝居はそのぐらいにしたらどうだい?永倉さん。」

と食い下がる。

 

永倉

「だから、何を根拠に人を殺人犯呼ばわりしてるのか、

 話してくれないか、話せるもんなら!」

と、反論。

 

金田一は、事件発生当日に永倉の行動を推理した。

 

1.犯行の準備を整えたあんたは新撰組祭りへ行き、

  同性同名コンテストに参加を申し込む。

 

2.会場内で手ごろな子供を探し、

 かりそめの誘拐事件の被害者としてフミを拉致。

 

3.スーツケースに薬で眠ってるフミを隠し、

 自分は『沖田総司』のお面とカツラをつけて、

 フミの保護者である金田一の横を

 ゆうゆうとすり抜け、駐車場へ向かう。

 

4.立ちはだかる金田一を避けて、猛スピードで立ち去る。

 

5.一度車を乗り換え、

 今度は別の車で祭り会場近くのアジトに行き、

 そこに一時的にフミと車を隠す。

 

6.警察にダックボイスを用いて

 「新撰組隊士と同姓同名の6人を全てを選ばせろ。」と、

 脅迫電話を掛ける。

金田一は、永倉が執念深く山南の命を狙うだけあったことから、

山南敬助という男は、結構性格悪そうな奴」と考えた。

「あのタイプの男は、普通の状態ならば、

 絶対進んで『人助け』なんてしないだろう。」とも考えた。

しかし、

山南が身代金の受け渡しを剣持警部にお願いされた時は、

普通と違って、

”小さな子供の命を助ける”という『武勇伝』と、

新撰組の『義侠心』が相まって、

引き受けざるを得ない心境にさせた。

新撰組の服装山南の心理に影響を及ぼしたのだろう。

 

さらに金田一は、

「犯行を翌日に設定したのにはいくつか理由があった。

 まず当日だと、

 人質のフミを用意してあった監禁場所に運ぶ時間がない。」

 

「このトリックには、ある理由からどうしても必要な条件があった。

 それを待つ為には、

 人質にも多少長くいても

 不自由ない場所にいてもらいたかったんだ。」

と言った。

 

美雪”必要な条件”について聞くと、金田一

だよ!この犯行を行うには、

 『雨』が最も重要かつ必要な条件だったんだよ・・・!」

と、答えた。

 

翌日、運の強さも味方したのか、東京の京王線沿いは、

今にも雨が降り出しそうな天気となった。

ここで約束通り、京王稲田堤駅に集められた隊士達は、

『沖田総司』の指示通り、刑事達をどんどん巻いていった。

 

だいぶ見張り役が減るだろうことが予測できた新宿駅のトイレで、

全員に複雑な方法でカバンの交換をさせる。

これで尾行者どころか、カバンを持つ隊士達自身も

身代金の入ったバッグを誰が持っているのか、わからなくなってしまった。

 

だが、この時身代金の入ったカバンは、

本当の意味でのターゲットである山南敬助の手に渡っていた。

それから都営線に乗り換えたり、また戻ったりしているうちに

隊士達は少しずつバラけていき、

最終的には当初の狙い通り、

永倉山南と二人で井の頭線に乗り、

大胆不敵な殺人の舞台となる渋谷駅に到着。

 

金田一は、

「必死で尾行してなんとか渋谷駅までついていったつもりだったが、今にして思えば、

それも『犯人の計画通り』だった」のではないかと推理。

「隊士達の行動を利用し、尾行者を特定し、

 次第に数を減らしっていって

 最小限の尾行を渋谷まで残すのが、『振り回し』の狙いだった。

 そして最後は、その尾行者に『正体がバレている』ことを伝え、

 自分のアリバイの『証言者』としてホームに留まらせる。」

と言った。

 

しかし永倉は、

「あの時、君は見てたじゃないか。

 俺が乗った折り返しの各停がそのまま吉祥寺に向かうとこ・・・

 降りずにずっとあの電車に乗ってた俺が、

 どうして渋谷で外に出ちまった山南さんを殺せたわけ?」

と、反論。

しかし金田一にはわかっていた。

 

金田一「普通は無理だけど、ここではできるんだ。

     京王井の頭線渋谷駅という

     『都会の迷宮(ラビリンス)』

     特殊な構造を利用すればね・・・・」

 

     「井の頭線渋谷駅は、

      降車専用ホームというのがあって、

      その為の専用階段もあるんだ。」

 

     「山南降車専用ドアが開いても降りずに、

      反対側のドアが開いてから電車を降りた。

     という所に注目した。

     そんなさりげない行動も

      『犯人からの指示通りの行動だった』と推理。

 

ここで剣持警部

山南のスマホには、そんなメッセージはなかった」と証言。

 

金田一は、

「それは、そのスマホが、

 本当は山南がずっと持ち歩いていたものじゃなかったからさ。」

と、答え、

 

金田一「俺達は、6人の隊士達が持っていたのは、

     沖田総司がロッカーに残した『6つの連絡用携帯』

     だけだと思っていた。

     だが実は、この犯行には手品のタネのように、

     いくつもの『隠し携帯』が存在していたんだ。」

とも答えた。

 

金田一が言う『隠し携帯』というのは、

(携帯X

山南を操る為のメッセージを届ける為に犯人が持たせた。

 

(携帯Y

警察に回収されることを見越して用意した山南の偽連絡用。

コレは犯人にとって、

都合の良いメッセージだけが記録されている。

 

(携帯Z

金田一に尾行がバレてることを伝えた。

これも死体となった山南から警察が回収し、

そのメールの送信記録で、”山南共犯説”の根拠となった。

金田一は、永倉に対し

「犯人は、

 ・三つの『隠し携帯』

 ・井の頭線渋谷駅の特殊性

 ・計画通り降り出した雨

を利用し、綱渡りのような芸当を演じて、

山南敬助を”誘拐犯の片割れ”という汚名を着せたうえで、

殺害してみせた。

そうだろう?永倉さん・・・いや!沖田総司!」

と言った。

 

<感想>

ついに沖田総司の正体が判明されましたね。

永倉さんが沖田総司でしたか。

携帯3つも持ってたって事を全く考えてなかったな・・・

そこを考えてなかったのが悔しい。

犯人が天候を味方につけたのは「雷祭殺人事件」以来か?

多分その辺りぐらいだったかと思う。

で、次の話で”驚愕のトリック”って書いてあったけど、

一体どんなトリックなんでしょうね。

次が楽しみだな~。