<真犯人『白蛇』の正体>
金田一「鷺森弦・・・いや、白神家の三男・白神黄介!
あんたこそが、ニセ蓮月こと鬼門影臣と腹違いの兄・白神左紺を殺し、
タンクに沈めた真犯人、『白蛇』だよ!」
この金田一の言葉に、関係者達は驚き、中でも音松さんは、
音松「鷺森君がうちの黄介だって・・・・!?
確かに年の頃は同じかもしれんが顔は全く・・・・」
と、驚きを隠せなかった。
金田一「整形したんだよ!
殺されたニセ蓮月こと鬼門が殺したのは、東京のモグリの整形外科医だ。
ひょっとしたら、そいつに整形してもらったんじゃないか?」
さらに金田一は、
黒鷹さんが「長男の左紺と三男の黄介は、若い頃の音松さんに似ててな」と言っているのを聞いており、金田一は"左紺と黄介の姿がよく似ていたのでは!?"と考え、
白神家全員が写っている写真を見ると、
"髪の色こそ違っているが、それ以外は双子のように瓜二つ"だということがわかった。
写真を見た剣持警部も
「確かにこれだけ顔形が似てれば、声帯とかの形も似てくる場合もあるな。」と納得した。
金田一「もちろん普段はバレないように声のトーンを少し変えて喋ってるんだろう。
違うかい?白神黄介さん!」
と、金田一は鷺森弦に言った。
しかし鷺森は、
「何を仰るんですか、金田一さん。
僕はここ数か月前からここで働き始めた単なる従業員だ。
それが数年前行方不明になった三男だなんて、
一体なにを理由にそんなこと言い出すんですか?
殺人事件の前に一番蔵に入った左紺さんが、
出てくる時に別人にすり替わってたなんて、
荒唐無稽もいいところだ。
根拠はあるんですか?」
と、自分が白神黄介である事を否定し、逆に金田一に質問した鷺森。
しかし金田一は、
「もちろんあるさ・・・・三つもな!!」
と答えた。
<鷺森弦が白神黄介だという三つの根拠>
(1つ目)
金田一達は、一度一番蔵の外に出て、防護服を脱いだ。
そして金田一は、鷺森さんに「そこにあるバック取ってくんない?」と言って、
鷺森さんがバックを持つと、金田一はスマホでバックを持つ鷺森さんの写真を撮った。
さらに金田一は、
関係者達に一番蔵に続く作業場のたった一つの出入り口についていた監視カメラの映像を見せた。
右側の映像には、一番蔵に入る前の左紺さん。
左側の映像には、一番蔵を出てきた後の左紺さん。
2つの映像が映っていた。
金田一は関係者達に、「この二つの映像の違いがわかるか?」と聞くが、
音松・黒鷹・鏡花の三人はわからずじまいだったが、鏡花の娘の蒼葉があることに気づく。
「行きは緩く引っ掛ける感じで持ってるけど、帰りはバックをしっかり握ってる・・・?」
この言葉に全員が違いに気づいた。
鷺森は「そんなのたまたまでしょ!」と言うが、
「それがたまたまじゃないんだよな~。」と、金田一が言い、
「そうだろ、オッサン?」と、ここで剣持警部にバトンタッチ。
剣持警部曰く、
「こいつは『フォースタンス理論』と呼ばれるもので、
人間は基本的な体の使い方で、4種類に分かれるとの説だ。」と言い、
今回の映像に映っていたカバンの持ち方については、
「こうした何気ない仕草は、本人が意識しない限りそう変わるもんではないんだ。
もし、こんな風にカバンをぶら下げて持つ人間が、
カバンをしっかり握ろうとすれば、かなりの違和感を感じるはずだ。
これは警察の映像分析などでもよく使われる理論だよ。
それに従えば、この同じカバンを持った二つの映像の人物は、
ほぼ『別人』ということになる!」
と言った。
さらに金田一は、
「ちなみに、この左紺が蔵に入ってからの映像をよく調べたら、
蔵の方に向かっていく人数が、戻ってくる人より一人分多かった。
もちろんみんなマスクにゴーグルで顔はわからないし、
この廊下を通らなくても蔵には行ける。
でも、あんたのカバンの持ち方は、左紺のカバンを持って出てきた人物と同じだよな?」
と言った。
しかし鷺森は、
「バカバカしい!
そんなカバンの持ち方で、僕以外だっているでしょ!
そんなことで犯人だなんて・・・・」
と、まだ自分が犯人ではないと否定。
(2つ目)
金田一「もちろん、俺があんたに違和感を感じたのはこれだけじゃない。
鷺森さん、あんたにタンクの洗い場に案内してもらったよね?
その時、俺が水を採取する取水場も見たいって言ったろ。
あんたこんなこと言ってた。」
鷺森『気を付けてくださいね。
階段が急で渡り廊下が滑るんで、昔そこで人が亡くなる事故がありましたから。』
それを聞いた美雪は、
『結構事故が多いのね、醸造所って・・・』と言った。
美雪「だって白神家の二人目の奥さんも隣のタンクの洗い場で亡くなってるんだから、
二人も事故死してるってことでしょ。
それって多いなぁって思ったの。」
金田一「俺も一瞬そう思った。
でも後から思ったんだ。
いくらなんでも酒造りの蔵で『事故』で二人も人が死ぬなんて考えにくい。
もしかしたら鷺森さんが言ってる『事故』って言うのは、
二人目の奥さんのことじゃないかってね!」
それを聞いた美雪は、
「で・・でも二人目の奥さんはタンクの洗い場で亡くなったって蒼葉ちゃんが・・・」
蒼葉も、
「そ、そうよ!だってあたしそー聞いたもん!お母さんから・・・」
と言い、
金田一が黒鷹さんに「本当の所はどうなんです?」と聞くと、
「お前の言う通りだよ。噂じゃ何故か『タンクの洗い場』になってたが、
鞠乃さんが死んだのは取水場の方だ。」
と言った。
金田一は、試しに他の従業員にもさりげなく聞いてみたところ、
蒼葉ちゃんみたいに洗い場と思っている人もいれば、
詳しい場所まで知らない人が殆どだったらしい。
金田一「つまり、本当の事故現場が取水場だと知っているのは、
当時、この蔵にいた、ごく一部の身内ぐらいなんだ。
なのに、
なぜほんの数か月前に来たばかりの鷺森さんがそのことを知っていたのか?
それは鷺森さん、
あんたが事故当時ここにいた、
ごく一部の身内の一人だったからじゃないのか?」
(3つ目)
金田一「もう一つ、あんたが本当は白神黄介だって裏付ける事実がある。」
と言って、関係者達を白神家の家族の為だけの居間に連れて行った。
音松さん曰く「基本的には従業員は出入りを禁じております」とのこと。
金田一は、
「音松さんが今回の件で酔って荒れて暴れた時、
この壁に掛けられた飾りや棚に置かれた家族の写真などを、
すべて床に投げ捨ててしまった」という事を話し、
その後、駆けつけた黒鷹さんと剣持警部の二人に抱えられて、部屋に戻っていた事も話した。
そして金田一は鷺森さんに
「あんた鏡花さんにこう言われてたよな?」
鏡花『あたしと蒼葉は音松さんの様子を見に行くから、ここはお願いね!』
鷺森『は・・はい、女将さん。』
金田一「それからあんたは、一人残って居間を綺麗に片づけた・・・」
鷺森「それがどうしたって・・・」
と言った瞬間に、鷺森は自分が犯してしまったミスに気付いた。
金田一「・・・わかったかい?
あんたはしっかり片づけすぎたんだよ!
見てくれ!昔ここで撮られた写真。」
と言って、白神家映った写真を関係者達に見せた。
金田一「棚にあるトロフィーなどの並びも、
壁に掛けられた帽子や額の位置も、
この居間に立ち入れるはずもなかった従業員のあんたが、
なぜ殆どぴったり元の位置に片づけられたんだ?」
という金田一の指摘に、関係者達も気付いた。
金田一「これはもう、昔からこの居間を使ってた人間でなければできることじゃない。
しかもこの写真は俺が持っていたから、
これを見て片づける事も出来ないしな。」
と言うと、鷺森は黙ってしまい、音松さんも青ざめていた。
金田一「あんたのDNAを調べれば、音松さんの血を引く者だとわかっちまうだろう。
ニセ蓮月・鬼門影臣と腹違いの兄・白神左紺を殺害したのは、
『鷺森弦』と名乗って、この蔵に再び帰ってきた三男、白神黄介!!
あんただよ!!」
と言った。
<自白>
金田一の推理に、鷺森弦こと白神黄介は、
「まいったな。
親父や兄貴にもバレなかったのに、まさかあんなことで気付かれちまうなんて・・・・
ああ、君の言う通りだよ。金田一君。
俺があの二人を殺した犯人『白蛇』さ!」
と、自白した。
「黄介・・・お前・・・本当に黄介なのか・・・!?
なぜ・・・どうしてお前が・・・!!
次男の蓮月ばかりか、今度は長男の左紺まで手を掛けるなんて・・・!!
本当にどうしちまったんだ・・・!!」
と、音松さんは嘆いた。
黄介は、
「お父さん。
俺は・・・この蔵を守るために帰って来たんだよ。
この蔵を食い物にしようとした毒蛇共の『毒牙』からね!」
と言った。
<感想>
みなさん、お久しぶりです。
greenthunder-94です。
前回のブログ更新から2週間以上空けてしまいました。(-。-;)
ごめんなさい。
さて、2週間ぶりの金田一の今回の話ですけれども、
珍しく剣持警部がかっこいい感じになってましたね。
やっぱり指摘してたカバンの持ち方に、取水場が本当の事故現場だということ、白神家の居間にあるトロフィーや壁に掛けられた帽子や額の位置の部分が当たってましたね。
で、次回は事件の動機編に繋がるわけですけれども、なぜ黄介が殺さなければならなかったのかが気になりますね。
あと2話って書いてあったから、9月の初めが『白蛇蔵殺人事件』の最終回ですね。
どんなお話になるのか、楽しみだな~。