ニュースで「ホルムズ海峡」や「原油」「石油備蓄」という言葉を聞くことが増えています。
でも、
「もし外国から石油が来なくなったら、日本はどうなるの?」
と思ったことはありませんか。
実は日本は、そんなときのために、たくさんの石油を貯めています。
今回は、日本の「石油備蓄」について、中学生にもわかるように説明します。
日本には約200日分の石油があります
2026年8月現在、日本には全部合わせて約200日分の石油備蓄があります。
大きく三つに分かれています。
① 国家備蓄:約100日分
国が持っている石油です。
大きなトラブルが起きたときに使う、日本の「最後の備え」と考えるとわかりやすいでしょう。
② 民間備蓄:約90日分
石油会社などが持っている石油です。
ガソリンや灯油などを安定して供給するため、企業もたくさんの石油を保管しています。
③ 産油国共同備蓄:数日分
これは少し変わった備蓄です。
サウジアラビアやUAEなど、石油を生産している国と日本が協力して、日本国内に原油を置いています。
全部合わせると、およそ200日分になります。
では、200日間は安心なのでしょうか?
ここで、とても大切なポイントがあります。
「200日分あるから、外国から石油が来なくなっても200日間は今までどおり生活できる」
という意味ではありません。
なぜでしょうか。
私たちは「原油」をそのまま使っているわけではないからです。
外国から来た原油は、まずタンカーから港へ降ろされます。
そして製油所という大きな工場へ運ばれます。
そこで、
ガソリン
軽油
灯油
ジェット燃料
などに作り変えられます。
さらに、それをタンクローリーなどで全国へ運ばなければなりません。
つまり、
石油は「持っている」だけでは使えないのです。
どうして日本は、そんなに石油を貯めているの?
その理由を知るには、約50年前までさかのぼる必要があります。
1973年、日本は大きな石油危機(オイルショック)を経験しました。
中東で戦争が起き、石油の価格が急に上がりました。
石油を外国に大きく頼っていた日本では、
「石油が来なくなるのではないか」
という不安が広がりました。
当時の経験から日本は、
「石油は、お金を出せばいつでも買えるとは限らない」
と学びました。
そこで国や企業が、もしものときのために石油をたくさん貯める仕組みを作ったのです。
そして2026年、その備蓄を実際に使っています
ここが、いま注目したいところです。
2026年3月末、日本の国家備蓄は146日分ありました。
現在は約100日分です。
かなり減っています。
これは、日本が備蓄してきた石油を、現在の供給問題への対応として実際に使っているからです。
つまり現在の日本は、
「石油をたくさん貯めているから安心」というだけの状態ではありません。
50年近くかけて作ってきた備えを、実際に使いながら石油の供給を守っているのです。
なぜ石油が日本へ来にくくなっているの?
大きな理由の一つがホルムズ海峡です。
ホルムズ海峡は、中東にあるとても狭い海です。
日本が中東から買っている原油を積んだ大型タンカーの多くが、ここを通ります。
ところが中東で戦争や軍事的な緊張が起きると、タンカーが安全に通れなくなることがあります。
すると日本まで石油を運ぶことが難しくなります。
ここで重要なのは、
「世界に石油があるか」だけではない
ということです。
石油があっても、それを運ぶ船がなければ日本へ届きません。
安全に通れる航路がなければ、日本へ届きません。
つまり、
石油を運ぶ道も、とても大切なのです。
備蓄しているのは「石油」だけではありません
ここまで考えると、石油備蓄にはもう一つ大切な役割があることがわかります。
もし中東から石油が来なくなったら、日本は別の国から石油を買わなければなりません。
たとえば、
アメリカから買う。
中南米から買う。
別の国と契約する。
新しいタンカーを探す。
安全な航路を考える。
そして日本まで運ぶ。
でも、これには時間がかかります。
その間、日本の社会を動かしてくれるのが備蓄です。
つまり、
日本が貯めているのは石油だけではありません。
次の方法を探すための「時間」も貯めているのです。
でも、石油の値段までは守れません
もう一つ覚えておきたいことがあります。
たくさん石油を備蓄していても、石油の値段が上がることを完全には防げません。
遠くの国から石油を運べば、輸送費が高くなります。
船が不足すれば、運賃も上がります。
危険な場所を通れば、保険料も高くなります。
その影響は、
ガソリン
灯油
飛行機
宅配便
食品
プラスチック製品
など、私たちの生活にも広がっていきます。
だから、
備蓄は石油の「量」を守ることはできます。
でも、
石油の「価格」まで守れるわけではありません。
これから注目したい五つのこと
これから日本の石油についてニュースを見るときには、次の五つを考えてみると、とてもわかりやすくなります。
どこの国から買うのか。
どんな原油を買うのか。
どの道を通って運ぶのか。
どこでガソリンや灯油にするのか。
備蓄をどれくらい残しておくのか。
石油の問題は、
「あと何日分あります」
という数字だけではわからないのです。
石油備蓄は「時間の貯金箱」
日本には現在、約200日分の石油備蓄があります。
これは、とても大きな備えです。
でも、本当に大切なのは、
「200日あるから安心」
と考えることではありません。
石油が来なくなったとき、
別の国から買う。
別の船を探す。
別の道で運ぶ。
そして日本の社会を止めない。
そのために必要なのが備蓄です。
私は、石油備蓄をこんなふうに考えるとわかりやすいと思います。
石油備蓄は「時間の貯金箱」です。
困ったときにその時間を使って、次の方法を探します。
1970年代の石油危機から約50年。
日本が長い時間をかけて貯めてきた「時間の貯金」を、いま実際に使っています。
だから、これからニュースで、
「日本の石油備蓄は○日分」
という数字を見たら、もう一つ考えてみてください。
「その時間を使って、日本は次に何をするのだろう?」
そこまで考えると、エネルギーのニュースが少し違って見えてくると思います。
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