3月16日

君と最後に会ったあの日

君と会わなくなってから

もう2ヶ月が過ぎていた

すでに入線していた電車には乗らず

次の電車を込み合うホームで待っていたら

突然あらわれた君が電車に乗り込んだ

ときどき君が見せていた

ちょっとためらうようなしぐさはなくて

まっすぐ足早に君は電車の中へ

その様子に少しためらってから

それでもやっぱり君を追って電車の中へ

君とは背中合わせになってしまったけど

なんとなく君の温度を感じていた


ふたりの立ち位置からでは

教会の十字架が重なるのを見る事はできない

いつもの何倍も早く景色が過ぎていく

あっという間に白金高輪のホームへ

君はドアに近いところに立っていたのに

先に降りようとしなかった


人ごみに流されるようにドアの外へ押し出され

君は後から降りてきたけど

君の横顔を見ることもできず

呆然とうしろ姿を見送るしかなかった


いつもは少しうつむいて歩く君が

そのときはまっすぐ前を向いて

君の背中は清々しくて

なぜかうれしそうにも見えた

そのとき気がついたんだ

これで最後なんだ・・・って

だから君のうしろ姿を忘れないように

心に刻み込みながら見送った


もしかしたら君も

これで最後って知っていたから

僕のうしろ姿を見送ってから

電車を降りたのかな


僕のうしろ姿を見送って

今までのことすべて吹っ切れた君は

新しい明日に向かって歩き出したんだ

今日とは違う明日を君は手に入れた

これからいろんな人に会い

いろんな恋をして

つらいことや悲しいことがあって

うれしいこと楽しいこともいっぱいあって

そして

いつか少しだけ思い出してくれたらいいな

ふたりの時間のことを

僕のことを


十字架が重なる日はこなかったけど

あの日僕らの心は間違いなく重なった

最後の最後で少しだけ交差したんだ


祝福するよ

君の新しい明日を

僕は

決して君を忘れない