極限の環境に住む | グリーンライフ カフェ

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ハーレー・シックス


極限の環境下で生活することほど、私たちの道具の知恵が試されるときはありません。
イギリス南極観察基地(BAS)は、今年あたらしいハーレー6号と呼ばれる基地を新設しました。イギリスは、1956年から南極ブラント氷棚に基地を構え、その第一号基地ハーレー・ワンは氷の中に埋もれ喪失し、2号3号機も同じ運命をたどり、5号基になり建物の基礎を伸縮する機能が付き20年間奉仕。その5号基の脚は20年の時を経て25mも氷に埋もれ、氷が海に向けて動くにつれ近年破壊されたので、今回あたらしくハーレー・シックスの誕生となりました。小型モジュールシステムで機動力が増し、極限の環境に対応できる近代居住マシーンです。


ハーレー・シックス


南極の氷の大地に住むには、毎年少しずつ動く南極の氷の大地にいかに定住することが出来るかという課題を克服せねばなりません。イギリスの建築家ハグ・ブラントンは、その南極住居の課題を単純簡潔に解決しました。過去の基地の問題点は、雪が積もりそれが氷となり基地の脚が伸縮できても埋もれてしまうことで、その過程で基地が使用不能に陥ること。ハーレー・シックスでは、脚部に油圧式伸縮機能を持たせ床下1mが埋もれると脚をひとつづつ持ち上げ積もった雪の上に足場を確保することが出来るようになり、雪に埋もれてしまうことがなくなりました。脚が動く家・・、革新的です!

ハーレー・シックス


うわー真っ白になってます。何かクマさんが凍ってしまったような・・(笑)悲哀さもすこし漂っています・。南極でのふぶきとかすごそうですよね。そんな環境に住んでしまおうってわけですからただ事じゃないです。南極では、マイナス60度、風速40メートル、ほとんどは暗闇、という極限の環境が続くといいます。


このような環境下で生き延びるためには機動力も大切です。
南極の氷は常に海に向かい移動しており、時間の経過とともに基地は海へと流されていくのだそうです。それを解決するためにハーレー・シックスは、移動式モジュールシステムとして脚部にスライドが取り付けられ、ソリとして移動することができるようになりました。そりで動いちゃうんですね!ちょっとエアロダイナミックスが効いたようなデザイン感もなきにしもあらず・・・。宇宙船っぽい!


ハーレーシックス


移動式ホームみたいな感じはありますが、このモビリティが大切です。各部屋が分離できるようになっているため、移動や危機対処に非常に便利です。ドッキングも単純簡潔に解決してありパズルピースみたいです全部屋が合体するとまるでファミリーのようでかわいい!設計にも好みというのがありますが、この建屋前方の2つの窓・・・・ これ、動物系イメージでデザインしてますよね?なんだかクマみたいな、イギリス政府もカワイイ系をOKするとはおもしろいところです。それもとも、これも鬱に陥る研究員に対する心理学的な効果を狙ってでしょうか・・!?


ハーレーシックス


このファミリーを構成するメインハブが、赤のコミュニティールーム。イギリスの100年の南極探検の体験から、研究員にとってこのソーシャルルームが非常に大切なんだそうです。それもそのはず、一年の半分以上を暗闇が支配し、外はマイナス60度に風速40メートルの極寒の世界。それは気がめいってきてもおかしくありません。


ソーシャルルーム


南極隊


内装は気分が晴れるような色の組み合わせを使って設計したとのことです。このソーシャルルームでわきあいあい出来るわけですね。この位気を使ってあげるのは必要ですよね。



研究室



研究室もこぎれいに出来ています。なんかいい感じですね。ここは、レッドハウス2Fのオブザベーションルーム。



ハーレー6


極限の自然環境での作業を可能とするこうした道具って大切です。こうしたものがあってはじめて、南極でのいろいろな環境観測が可能になっているんですね。こんな機能をもった移動式住居システム、将来もし世界的異常気象で氷河期が現れたりしたら間違いなく人類を救うでしょう。


それにしても、不思議な要素がたくさんのハーレーシックス。脚は伸縮する、ソリで移動可能、とどめはクマさんっぽい・・。移住空間もここまでくると中々一言にいいつくせません。デザインによって、ここまで「住まう」が違ったものになるのを見るのは大変興味深いことです。




参照:Architectural Record



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