この日も残暑は厳しかった。
朝、いつも通り義父を
で会社に送り
弟と
へ向かう。
受付を済ませて、内科に行くとすぐ採血、採尿、レントゲンを受けて戻ってくるように言われる。
一通り済ませて、3日の結果を聞くため内科に戻って座っていた時に異変は起こった。
弟の右側に並んで座っていた私。
弟がもたれかかってくる(眠いのかな~)なんて思っていたけど、体が不安定に揺れている。
よく見たら左手を椅子の端にかけて、自分の体を支えていた。
弟の頭にはつぶの汗
「だいじょうぶ?どうした?」と、聞いても返事が返ってこない。
いつも血圧を測ってくれる職員が呼びに来たので、立とうとするが腰が抜けたようになって立てない弟。
「車椅子持ってきますから、じっとしててね」と職員が走る。
車椅子を前に、がんばって立とうとしたが「姉ちゃん右が・・・右が・・・」と必死に訴えてくる。
職員が近くにいた看護婦さんに声をかけて3人がかりで車椅子に乗せたが、前に倒れそうになる弟。
おかしい
さっきまで歩いて検査してきたのに。。どうして
バタバタと職員が連絡して主治医が飛んできた。
「タロさん、大丈夫?」と声をかけながら、体温36.6度、血圧107/78、心拍122測定。SPO2 98
主治医:「神経内科2Fへ、エレベーターで行ってください。僕は先に行ってるから」と階段へと走る先生。
私は車椅子の弟とエレベーターで上がり、神経内科へ向かった。
「こっちに入って」とすぐ主治医が受診室へと入れてくれた。
神経内科のK先生と二人で弟を診てくれた。
簡単な質問、それに答えられない弟。
「薬指はどれ?」
「・・・・・・・・・・わからない」と。
両手を前に出して目をつぶると、右手が下がってくる。
二人の先生に支えられながら歩行しようとするが、右足が前に出ない。
画像を見ながらK先生が言った。
「脳のこの部分に影があります。言語中枢で、考えをまとめる。言葉に出すところですね。」
私はもうひとつポツンとある白い影を指差して聞いた「これは小脳ですか?ここにあるのは?」
K先生:「小脳です。影があるのは確かです。
右に麻痺が出てきてますので、放射線治療を早急に受けたほうがいいですね」
そんな~~~
さっきまで歩いて晩御飯何にしようかなんて話していたのに・・・
主治医はずっと弟の肩に手を置いてさすってくれていた。
主治医:「タロさん、予定通りこれからケモしてる間に、放射線科と連絡取るから、大丈夫!
お姉さん、タロさん顔色も戻ってきたからケモ室で待っててくれるかな。
担当看護婦今来るからね」
(落ち込んでる暇もなし><;)
担当看護婦さんとケモ室に入り、ケモベットに弟を横たえる。
ケモ室主任さんが「今日は右でする?左にする?」と聞く。
弟:「みり・・あれ・・みり・・・・でいいれす」(右って言ってるつもり)
「じゃ、右でするね。ペナ錠とイメンドカプセル飲んだらはじめるよ」と、薬と水を渡す。
左手で薬と水を飲むが、右の口角から水がツーーーと零れ落ちる。ティッシュで拭く主任。
ラインが取れるとすぐいびきをかき始めた弟。
ケモ室主任さんが「お姉さん大丈夫ですか?無理しないでくださいね。
主治医から連絡受けていますから、ちょっとでも横になってください」と言ってくれた。
ありがとう!
内心、ビクビクしていた。おトイレって言われたら連れて行けるかな~・・・どうしよう・・・。
弟が今の自分を受け入れられなくて、うちに帰るといったら私一人で大丈夫なんだろうか・・・。
ケモ室の主任に主治医のところに行って来ると声をかけて、内科へ行った。
職員が私の顔を見たらすぐに「先生呼びますから待っててください」と、リグで呼んでくれた。
主治医と受診室に。
私:「先生、放射線の治療前に・・」と、内心ビクビクしていることを話した。
弟が自分で納得して入院って形にしたいことも伝えた。
主治医:「受診日にこんなになるとはな~・・考えようによったら不幸中の幸いだよね、病院でよかった。
病棟にはもう連絡してベッド確保はしてあるんだよ。
お姉さんが言うとおりタロさんが納得するかどうかなんだけど、どうしたい?」
私:「ケモ中におトイレというかもしれません。車椅子用のおトイレに連れて行ってトライしてみます。
帰るというなら車に乗っけて戻ってみます。
そこでもし無理だと二人共思ったら、電話しますのでお願いできますか?」
主治医:「わかりました、じゃ、そうしましょ。
お姉さん、無理するなというほうがおかしいけどホントに無理しないでくださいよ。
いつでも電話ください」
主治医と打ち合わせ(?)をしてケモ室に戻ったら、最後のフラッシュが終わるところだった。
ケモ終了して弟も目を覚ます。
なんとか車椅子に乗せてケモ室をあとにした。
弟:「姉ちゃん、車椅子用のトイレに連れて行って」ろれつが回らないけど、ゆっくりそう言った。
「わかったよ、行こう」と、トイレに向かう。
車椅子を中に入れて、手すりに左手をかける弟の右を支えて何とか便器に座らせる。
中のカーテンを引いて、弟の様子を伺う。何とか用は足せた。
車椅子に乗せ、トイレのあとは会計に向かう。薬も処方されていたのをもらった。
「帰ろうね」と言ったら「ウン」と返事。
一番端に止めていた車に弟をなんとか乗せることができた。
キーをまわしすぐエアコンをかける。
弟はシートベルトと格闘していた。
私はあえて手伝わなかった。「車椅子戻してくるね」と声をかける。
そうしたら。。。
「姉ちゃん・・・無理・・無理・・・家・・・・無理・・・」唇をかみ締め、表情をゆがめて弟が言う。
私:「無理って、、、家に帰れないって事?」今にも泣きそうな顔をして、首を縦に振る弟。
「わかったよ、ここにこのままいてね。先生に言ってくるから」そして私は主治医のところに走った。
私:「先生、弟・・・車に乗せたんだけど、帰るの無理だってタロが言ってるので、お願いしていいですか?」
主治医:「今、車に乗ってるの?じゃ、一緒に行くわ」と、来てくれた。
先生に付き添われ再び4F病棟に入院となった。
弟も私同様、あれよあれよと変わる体調に、不安もあったんだろう。そして悔しさも。。。
動かない右手右足を、左手で叩きながら「なんでやねん・・・・」と。
義父に電話連絡して、今日は夜の仕事は休んでとお願いした。(はじめて休んでと言ったのだ)
一度家に戻り入院の用意をして義父と弟の病室に行った。
「父ちゃん、あかんねん・・・体うごかへん・・・」搾り出すように言った。
義父は何も言わず弟の足をさすっていた。
弟の中の葛藤はすさまじいと思う。
でも、今を受け入れないと先へは、進めないんだよ。。。
にほんブログ村