トラブルの扉の前で憂鬱に佇む私と、エベレストの前で力強く頂きを望む私。
その違いはきっと、好奇心や探究心や征服欲なんかの気持ちがあるか無いかだと思う。

という訳でトラブルも楽しんでしまえ!(旅の続き)

...

161号を北にひた走り、小雨に濡れながら国境スキー場を通り過ぎた時の気温は10℃を指していた。 

駄目だ寒すぎる泣きそうです負けそうです。

 

峠を越えた1つ目のコンビニで友人にエマージェンシーを伝え、ヘルメットも被ったまま彼の車に飛び込んだ。 次の経由地は敦賀市の「日本海さかな街」新鮮な海鮮丼を食べるつもりだったけどカレーかラーメンが今すごく食べたい。

 

少し回復した私はやはり海鮮丼を喰った(自分に勝った)のだけど、その後友人は魚屋の大将と盛り上がり、大量の干物を買ってしまう。 という訳で私たちは朝ごはん以外大量の魚を食し、海の幸を堪能し過ぎる事となった。(自分のゲップが生臭くて気持ちが悪かった)

 

そこから私たちは日本海のとある半島を目指したのだけど、空は灰色の分厚い雲が何処までも続き、山の頂はその厚い雲に覆われて見えない。 時折小雨と突風が吹き荒れて、日本海は痛々しいほどシケていたし、三方五湖は海のように波立っていた。 

 

私がこの世で苦手なロケーション、それは冬の日本海。 そんな時は津軽海峡冬景色やヒュールリーが頭の中を悲しくリフレインする。 駄目だ憂鬱がやってくる…気分を盛り上げるため野営地に急ぐ。今日の野営地は岬の突端、大海原にそびえる灯台の麓を予定している。きっと絶景が待っているはず! 

 

しかしそんな私の妄想は、目的地に到着して直ぐに淡く消えてしまった。 灯台に登る道が無い、四方を断崖絶壁に囲まれているのだ。 しかも日没まで1時間くらいしかない、闇の中のテント設営は避けたい。

 

私たちは来た道を戻った、迷ってる暇はない。Googlemapの航空写真はこんな時、とても助かる。 当たりを付けて向かった先は 大海原にそびえる灯台ではなく、大地を支える1トン土のう群の真横だった。(イメージからは大きく劣るが風をしのげるという現実的なところで1トン土のうは灯台よりかなり優れていた) 写真は次の日の1トン土のう側での朝食風景、反対側はリアス式海岸が一望に広がるオーシャンビューだ。

 

その後日没までにテント設営を終えて、干物ばかり食べながら日本酒をグビグビ飲んでくだらない話をして気分良く11時頃就寝。 

なのだけど午前2時(丑三つ時) 私は外の大きな物音で目を覚ましてしまう、友人は全く起きない。 

テントのチャックを開けて外の様子を伺うと50mくらい離れた場所で、車が事故でも起こしているようだ。

 

私は友人を起こした(彼は異常なくらい寝起きが悪い) が揺さぶってもなかなか起きない。「友人、友人、外で事故してる、助けにいこう」 彼→「あ"?」私→「だから外で事故やって、ほら起きて」彼→「あ"?」「なんで?」 私は寛容の心でこの下りを繰り返し、不機嫌な彼と事故現場に向かった。 

 

右側前輪後輪ともに溝に落ちたパッソの横で青年が佇んでいる。 どうやら酔っているらしい、JAFを呼ぶことに抵抗のある彼の為に我々は小一時間奮闘したのだけど全く上がりそうにない。 そして友人はすこぶる機嫌が悪いままだ。しかもハンドルを切ってくれと頼んだ青年はあり得ない体勢のままでハンドルに頭を付けて寝てしまっている。 私は思う「これは無理かな」と。 

 

ドアを開けた私はさらに驚く、なんともうひとり青年がいる、しかも事故やこのレスキューのあいだ全く起きないでいるくらいこっちの方がベロンベロンなのだ。 NO.2は運転席から助手席にかけて棒のように横になって寝むっている(死体かと思うほど) だから青年はあり得ない格好でハンドルを握っていたのだろうけど、私の友人はその光景を見てさらに機嫌を悪くした。(因みに作業中に指をぐねったらしく(そこは自爆なのだけど)機嫌は最悪だ) 

 

まるで身内なの?というくらい強い口調でグズる青年に向かって「ほらJAF呼んで、何とかしてくれるから!」と不機嫌を隠すことなく突き放した、青年が責めて友人(NO.2)を家に送って欲しいと懇願するもキッパリ断る。(完全にハイド側になっている友人) それなのに去り際「どうもならんかったら、そこでテント張って寝てるから呼びにきたらええし」と格好いいんだかダサいんだか優しいんだか悪いんだかの決め台詞を吐いて辞去した。 

 

恐るべし”二重人格で気分屋さん”

 

そしてその朝、私はこの旅3回目の寛容さを試された。

 

湯を沸かしながらパンを焼きたいのでもう一つコンロが欲しくなってきた。私は寝ている友人に、もう一つのコンロの場所を尋ねた。彼→「あ"?」私→「コンロはどこ?」彼→「○△□×※@#¥」「え?なんて?わからんへん」「 ○△□×※@#¥ !!」「あかん、全然なんて言ってるかわからん、どこって?」シュラフから少し顔を出して「黒いボックスに入ってる(*`ω´*)」

 

ふぅー、私は扉の前に佇みながら、彼を日本海のリアス式海岸の絶景の彼方へリリースした。(勿論冗談だけど、私以外の人間なら10人中15人はそうしている)

と、ここまで書いてまさかの文章量に驚く。。。次こそ旅を締めくくってみせる!