私はもうじき廃線になると言われる弘南鉄道大鰐線に乗った。
弘前中央駅から乗ったが、ローカル線だからのどかな感じで、たいへん空いていた。
春と言っても、雪が残っている東北ならの景色であったし、東京ならさしずめまだ春浅い三月くらいのような季節にも思えた。
津軽の城跡を眺め、戦火に合わずとも、ふと杜甫の『春望』を思い出す。
杜甫の『春望』
國破れて 山河在り
城春にして 草木深し
時に感じて 花にも涙を濺ぎ
別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
峰火 三月に連なり
家書 萬金に抵る
白頭掻いて 更に短かし
渾べて簪に 勝えざらんと欲す
NHKの大河ドラマで織田信長が出ていた。覇者である。
桜を眺めて、この一節も思い出す。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
覇者とは武力で国を統一しようとする。
平清盛のことを書いた『平家物語』の日本人なら暗唱もする有名な冒頭文である。
仏教の教えが色濃い。
日本の天皇は王者だと教えられてきた。
徳と才能による国の統治者であるらしい。
そのためにベールの向こうで、現存する世界最古の王室として残ったと言われる。
ことんことんと走って、大鰐温泉に到着した。
大鰐温泉は雨が降っていて寒く、温泉で疲れた体を癒した。
温泉の後に、素敵なお店に入り、お茶とお菓子をいただく。
ここのお店のシェフは、以前は沼津にあったスカンジナビア号(昔は豪華なヨット型クルーズ客船でスウェーデン籍だった。)でお仕事をなさっていたと聴いた。
部屋も素晴らしく、お菓子もたいへん素敵だった。
ここで贅沢な時間を過ごして、東京目指して帰宅の途についた。
「赤いリンゴに唇寄せて黙って見ている青い空
リンゴは何にも言わないけれど
リンゴの気持ちはよくわかる
リンゴかわいや かわいやリンゴ」
青森をあとにする。さようなら、機会があればまた!
東北のみなさん、お元気で!!















