津軽三味線に合わせるのは、今回が初めてだけれど、なんとなく箏の調弦はすぐにわかった。何も分かっていないのだから、なんでわかるのかもわからない。プロの人から見たら、なんでもないことなのかもしれないけれど、私にとっては未知の世界。
雅楽のあの不思議な音の広がりを、神経をとがらせて聴き分けようとしていたからかもしれないなどと勝手に思っている。
雅楽を習っている間は、ずっと課題だったことがある。まったく知らない音の流れのなかに、自分が弾く楽箏が合っているのかどうか。基本となる三管を習わずにして、伴奏となる楽箏をいきなり弾いていくのだから無茶苦茶だと、始めてみてから理解した。
楽譜があっても、拍数が決まっていない雅楽の流れは、ただただ感覚で合わせていくことを根気よく学んでいく。曲数は決まっているのだから、ひと通り覚えたらあとは繰り返し。1,300年もの間変わらない音楽の、重みを感じながらの3年間が過ぎていた。