こんにちは奏です![]()
私が資格を取って働きだした頃。
30年ほど前の話になります。
統合失調症の中高年の女性がいました。
彼女の生活態度は「自暴自棄」
ドアはバーンと開け閉めし
いつも硬い表情で人の話を
聞いてるような
聞いてないような?
人と同じ行動がとれず
一言でいえば「問題児」でした。
どうして彼女がそうなったか。
当時の精神科は敷居の高い場所でした。
一度入院すると亡くなるまで出られない。
面会も少なくて、電話をしても
家族が拒否する。
病気への理解も少なく
治療も選択肢の少ない時代でした。
彼女にはお子さんがいましたが
彼女が自宅に電話すると
「キ〇〇イから電話だよ。」とお子さんが
取り次ぐようなお宅だったそうです。
当時はそういう風潮だったんですね。
精神病が理解されず、
自宅に座敷牢があるお宅もあったと
聞いたこともあります。
病気もさることながら
家族からも世の中からも見捨てられた感じで
彼女はとても傷ついたのだと思います。
だからもう、自分でも自分を見捨てて。
病気に自分を明け渡してしまったのでしょう。
もう、普通に会話するのは無理だろう。
意思の疎通は出来ない、と思っていました。
でもある時彼女は大きな病気をしました。
入院していた病院では治療が出来なくて
大きな総合病院へと転院していきました。
一般の病院ですから、
手続きや必要なものがあると
ご家庭に連絡が行ったのでしょう。
家族が彼女の元に何度も
やってくるようになりました。
それがとても嬉しかった彼女は
みるみるうちに病気も良くなり、
元の病院に戻って来ることが出来たのです。
家庭事情で自宅に戻ることはできませんでした。
それでも、家族の励ましを受け
表情は明るくなり、
「あの時は(状態が)悪くてね、ごめんね。」と
会話が出来るようになったのです。
病気が完治したわけではありませんが
彼女は多少調子が悪いときはあるものの
「自暴自棄」になることはなくなりました。
「愛嬌のある人」になったのです。
彼女は彼女の家族とも
彼女の病とも自分なりに
和解できたのです。
とても感動したのを覚えています。
病気になるのはとても辛いことです。
でも、病気になったからといって
貴方も。
大事な人も。
全てが終わったわけではありません。
病気があっても
病気がなくても
貴方は自分のままで。
笑ったり。
話したり。
していて良いんです。
「病気」を悪者扱いしなくても
良いんです。
誰も悪くないんです。
「病気」を褒めることはなくとも
認めてあげてください。
そうやって自分と和解できたなら。
生きるのが楽になるのでは
ないでしょうか。
