カン、カン、カン…と、疲れてる時には軽く耳障りな階段を二階にあがって行く。
上がってすぐ、さらにガランとした空間に『ほんとに、ここでいいのか涬』と不安が頭をよぎる…
辺りを見渡すと左側の扉の横に『倉庫の上の…』と書かれた白い手作り看板とメニューが書かれたブラックボードが置かれている。
しかし、まだ油断はできない。
中の見えない古びたドアを開けるのは、少々勇気がいるものだ
二度目の『カギが掛かってたら…』
『ほんとに、ここでいいのか?』
数秒間の自問自答のすえ、とりあえず様子を伺いつつ『コンコン…』とノックしてみる。
中から、『はぁ~い!』の声。
まだ、中を見るまで…顔を見るまでは、安心できない。
勇気を出し冷たい金属のドアノブをまわしドアを開ける。
『ガチャ』、開いたよぉ~瀨
いやまだまだ…
恐る恐る そっと顔だけ入れて中の様子をうかがう。
中は、真っ白い壁と焦げ茶色のフローリング、そして数分後には、そこに横になっているであろう施術用のベッドが目に飛び込んでくる。
整体院といえば、ガイコツの模型や筋肉むき出しの絵、わけの分からない器具…お灸かシップの臭いをイメージするものだが、うちはベッド以外はいたってシンブル
一瞬、戸惑われる人もいるくらいだ。
そんな時、不意打ちをくらうかのように『こんにちは』
と、左側の白いカウンターからの声にビクッと、また心拍数が上がる。
ここまで来たら、『え~い、どうにでもなれ!!』
覚悟は決めたが緊張で足をもつらせながら、それでも平静を装い靴を脱いで、スリッパに履きかえる。
視線を白いカウンターに移すと、むこうから白衣を着た整体師が近づいてきてる…ドキドキ