にのあい妄想です。

お気を付けて。


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かわいいかわいい子役の子の目を、両手で覆う。

ほんとは覆いたいのは自分の目。


やめてくれ


と心の中で叫ぶけど、当然顔にも声にも出せない。


その後の少しの時間、こんなにも胸が痛むことがあるのかと。自分でも驚いた。


どうしてあそこにいるのは翔ちゃんなんだろ?

どうしておれじゃないの。


流れだったとしても、ネタだったとしても。

目の前でおれ以外の誰かとキスするあいばさんは見たくない。

メンバーならおれでもいいじゃん。


…そのあとの収録

おれはちゃんとできてたかな。

この世界に入って、嵐の二宮和也でいることに慣れているんだ。

ちゃんとできてはいるはずだけど。

正直覚えてない。



収録が終わって、みんなで楽屋に帰る時


「……カズ? なんか元気ない?」

って声とともに肩にずしん、と重たい腕が回る。


「まぁくん。おもっ。…べつに。元気だよ。」

「そ? ならよかった。ねぇカズ!俺腹減った。なんか食って帰ろ?」

「…どーしよっかな」


いつも通りのあいばさんにちょっとほっとしつつ、ちょっと素直になれない。


「え、なんか予定あんの?」

「……うーん。」

「あ、わかった、またゲームの約束?」

「あのねぇ、おれだって色々あんのよ。」

「……カズ。やっぱどっか具合悪い?」


って言いながら、あいばさんに両肩を掴まれて、あいばさんの方に向かされると、でっかい手がおれの前髪を上にあげる。


「!?」

あっという間にあいばさんの綺麗な顔が近づいてきて、おでこがこつんと重なった。


「………熱は…なさそう」

「……っ、へいきだって!行くよ、メシ」

「!え、ほんと?やった!」


なんてきらっきらの笑顔を見せられたらもうおれには選択肢なんてないのよ。


「ったく。なんなんだよ。おれがゲームとお前以外の予定がないと思ったら大間違いなんだからな!」

「え~…そぉなんだ」


こんどはなんだかしゅんとされたら、フォローしたくなる。


「…風間とかと。会うこともあんだからな。」

「それ、いつも俺も一緒じゃん。」

「うるせーなぁ」


なんて口を尖らせるおれの肩にまた重たい腕が回る。


いつかその腕の中に大事にしまわれるような存在になりたい。

そんな日が来るわけないと思いつつ、そんな想いにいやでも目を向けさせられた、今日。


オンエアは4月4日…。

おれはその日の番組、見られないだろうな。


このままあいばさんのそばにいさせてほしくて。

楽屋までの短い道のり、あいばさんの背中に腕を回して衣装の背中の布をぎゅ、と掴んだ。