にのあい妄想です。

お気を付けて。


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なんなんだろ。

この至れり尽くせり感。


プロの美容師さんがタダで髪の毛切ってくれる、ってだけでもなかなかなのにさ、コーヒー奢ってくれるって言うし、荷物まで持ってくれて。


あいばさんって、誰にでもこうなの?


「お待たせ!アイスコーヒー、ブラックでいいんだよね?」


なんて言いながらコーヒー買って席まで持ってきてくれんだもん。


「ありがと。」


…っていうか。のこのこ着いてきたけど。

一体なんのためのお茶なのやら。

あいばさんは男とお茶飲んで楽しいのかな。


なんて思うけど、カウンター式の席でおれの隣でにこにこしてるあいばさんを見たら、楽しいのかもしれないな、なんて思っちゃうよ。


「ねぇねぇ、にのちゃんはさ、普段何してるの?」

「おれ? 別に普通の会社員だよ。」

「へぇ!! 会社員!? 学生さんかと思った! じゃあパソコンとかやるんだ」

「まぁ。」

ふふ、あいばさんの中の会社員のイメージはパソコンやるひとなわけ?


「へぇ、すごいなー。残業とかする?」

「あんまり。」

「定時で上がれんだ。家帰ったらやっぱり歌の練習すんの?」

「する時もあればゲームしてる時もあるかな。」

「歌うのは週末だけ?ゲームはなんのゲームすんの?」

「そうだね、金曜の夜とか。土日とか。ゲームは、色々だよ。スマホのもやるし、パソコンでもやるし。」


なんだなんだ?なんでこんな質問攻めに!??


なんて思ってたら、頬杖を付いて体ごとおれの方を向いたあいばさんが、

「にのちゃんのこと、いっぱい知れて嬉しいな」

なんて笑った。


!!


あ。なにこれ。

おれ今絶対顔赤い。

前髪で隠れてる!?


いつも鬱陶しいと思っていた前髪が、今ほど長くて良かったって思ったこと、ない。


「あ、あいばさんはっ…」

「ん?」


なんて頼むから顔を覗き込まないでくんないかな?

このひと、自分の破壊力分かってんのか!?


「もっ、もう、長いの?美容師になって」

「うん、まぁ。って言っても5年目くらい。」

「へぇ。それでトップスタイリスト、って凄いんじゃないの?」

「別に普通だよ。でもね、カットは上手だねって言ってもらえるんだ。だから、にのちゃんのことも可愛く出来ると思う!!」

「………いや、別にかわいくなりたい訳じゃ…」

「何言ってんの! こんなキレイな目なのに」

「ぅわ」


あいばさんのおっきな手が伸びてきて前髪をかきわける。

いや、あいばさんは慣れてんのかも知んないよ!?ひとの髪の毛を触るなんてさ!


でもね、こっちは慣れてないのよ!!!