にのあい妄想です。
お気をつけて。
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にのちゃんのお母さんは、穏やかにコーヒーを飲んで、
「驚かなかったわけじゃないわ。 でも、親っていうのはね、どんな形であれ、子供が幸せなのが一番なのよ。」
ってにのちゃんを愛おしげに見つめて笑った。
「あの。 ちゃんと、幸せにします…いや、ふたりで、なりますから。…安心してもらえるように、がんばります。」
「…ええと、あいばさん。…まぁくん?」
「あ、はい、雅紀です。」
「こんど、うちに遊びにいらっしゃい。粉物パーティーしましょ。」
「こなもの…」「もんじゃ焼きとか、お好み焼きとか、たこ焼きとか。」
「あぁ! はい、ぜひ!」
そんな話をしたあと、この前にのちゃんと一緒に見た、にのちゃんの小さい頃の写真を見ながら、小さい頃の話を聞いたりした。
小一時間、ここにいてくれたかな。
「そろそろ帰るわ。 じゃあ、今度はうちで待ってるわね。」
「まぁくん、送ってくる。」
「うん。 じゃあ、僕はここで失礼します。」
閉まっていくドアの向こうで、笑顔で手を振ってくれるにのちゃんのお母さんに、ぺこりと頭を下げた。
「ふうぅぅ~~~~」
き、き、緊張したっ…!!!
思わず玄関に座り込む。
…俺、あんまりなんにも考えないでにのちゃんをうちに連れてってたけど、にのちゃんも毎回こんな緊張してたのかな…。
悪いことしたな…。
それにしても。
にのちゃんはお母さん似なのかな。
笑った顔とか、似てた気がする。
素敵な人だった。
こんなの、頭ごなしに拒否されたっておかしくないのに。
『親っていうのはね、どんな形であれ、子供が幸せなのが一番なのよ』
っていうにのちゃんのお母さんの言葉が思い浮かぶ。
ちゃんとにのちゃんは幸せなのかな。
俺が幸せだから、にのちゃんも幸せかなぁ、って勝手に思ってたけど。
にのちゃんの幸せってなんだろ。
お母さんがそうやって、にのちゃんの幸せを条件に受け入れてくれたんだ。
ちゃんと、ふたりで幸せになんないとな。
なんてことを玄関に座り込んだまま考えてたら、ガチャ、って玄関のドアが開いて、
「「わっ」」
玄関の中と外で驚いた。
「びっくりした~! なにしてんの、そんなとこで」
ってにのちゃんが帰ってきた。
「いやー、緊張して疲れちゃって…」
「んふふ。まぁくんでも緊張とかすんだ。」
「するよ! …で、ごめん。」
「なにが?」
「カズも、うちに行ったらこんな緊張してた? 」
「! いや…最初はそりゃ、ね。 でももう慣れてきたよ。」
「じゃあ…悪いけど、また近いうちに付き合って? 母ちゃん、カズに会えるの楽しみにしてんだ。」
「それは。 嬉しいね。 …ほら、立って。そこにまぁくんがいたら、おれ入れないよ。」
ってにのちゃんの可愛い手が差し出される。
その手をきゅっと握って、引っ張ったら、
「!? わ、ちょっ…」
簡単ににのちゃんが腕の中にやってくる。
「なにすんだよ、せっかく立たせてやろうと思ったのに…」
「カズは。カズはちゃんと幸せ?」
「………? 当たり前でしょ。 母さんのお墨付きよ?」
「うん。 ありがと。」
「ふふ。 へんなまぁくん。」
なんて言いながら、にのちゃんが俺の首筋に甘えるようにおでこを擦り付けた。