にのあい妄想です。
お気をつけて。
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結局。
俺がにのちゃんの髪の毛を乾かすのを途中で放置して、ちゅーしてそのままベッドに行っちゃったから、にのちゃんの髪にはしっかり寝癖が付いていた。
ねぇねぇ、今日も泊まってく??
そんでもって明日一緒に出勤しちゃう??
同伴出勤する??
って言ったら、同伴出勤ってそーいう事じゃないでしょうよ。
なんて言いながら、口をむにむにさせたにのちゃんが、でもスーツとか無いし。
なんて言うから。
そんなの!!
歩いて行ける距離ににのちゃんちがある訳だし??
取りに行けばいいじゃん!!
って言ったら、寝癖酷いし。誰かのせいで腰も痛いし。なんてブツブツ言ってベッドにまた寝っ転がるから。
もし勝手に入ってよかったら、俺が取ってくるよ?
なんていう提案をしてみる。
そしたらあっさり、いいんすか?なんて言って、鍵をちゃりんと渡してくれた。
そんなわけで、俺は今にのちゃんちの玄関の鍵をちょっぴり緊張しながら開けている。
かちゃり、と音がして鍵が開いて、「おじゃまします~」って言いながらそっとドアを開けて中へ入った。
にのちゃんが言った通り、寝室のクローゼットの中にスーツなんかの一式が入ってたから、スーツとワイシャツとネクタイと、あと忘れずに靴と靴下も準備する。
持ってきた紙袋にそれらを詰めて、よし、にのちゃんとこに帰ろ。って思って、ふとダイニングテーブルの上を見ると、会社で取ってきたのか、異動願いの紙が置いてあった。
「………」
異動のこと。
マジだったんだ。
あの、きょうでおしまいにしよう、も、
マジだったんだ。
そんでもし。
俺がそうしよう、なんて言ってたら?
一人で帰ってきて、ひとりぼっちでこれを書こうと思ってたのかな。
そんなことを想像したら、すごい胸が痛くて痛くてたまんなくて。
その異動願も引っ掴んで、走って家に帰ったんだ。
勢いよく家の玄関を開けて、サンダルを脱ぎ散らかして寝室に直行する。
勢いよく寝室のドアを開けると、Tシャツとパンツ姿のにのちゃんが俺を送り出した時のままベットに転がってた。
「あ、まぁくん。 おかえり…ぅわ!」「カズ!」
持って帰ってきた紙袋を投げて、転がってるにのちゃんに覆いかぶさってぎゅうぎゅう抱きしめる。
「…カズ、ありがとね。 俺といるって決めてくれて、ありがと。」
「まぁくん…」
にのちゃんの手が俺の背中を優しく撫でてくれる。
あったかくて優しくてほっとする。
きっと。俺はこれから先、このにのちゃんの優しさに何度も助けられるんだろう。