にのあい妄想です。

お気を付けて。


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「だって。 にのちゃん可愛いじゃん。」


!!!??!?

ど、どうしてそんな顔なの。


唇を尖らせて、不満そうな顔でそんなこと言われたら。


それが本心なんじゃないかって。

もしかして、ヤキモチとかやいてくれてんじゃないのか、って。


期待してしまう。

そうならいいのに。

そうならいいのに。


写真撮らせてよ? そんなのナンパ以外の何者でもないようなことを、おれが大野さんから言われると思ってくれてるってこと?


おれね、あいばさん以外に興味無いよ?

…って今伝えられたらどんなにいいか。


「 …あいばさん…以外に可愛いと思われたって別に嬉しくもなんともないよ…

「え?? なんて?」


だめだ、そんなの言えない…。


「…なんでもないっ!! 目と頭がどうかしてるって言ったの!」

「失礼だな!」


ってあいばさんのおっきな手が顔を撫でる。

「…っ」


あ、だめだ、嬉しそうな顔しちゃう!

ってふるふるって首を振って、


「おい、やめろや!」

ってちょっと怒ってみたら、くふくふ嬉しそうに笑ったあいばさんが


「ごめんごめん」


って言って、またおれの方に手を伸ばしてくるから、ちょっとびくってして首をすくめる。

だって。もうこれ以上触られたら…心臓どうにかなる。


「なんにもしないよ。 前髪。ぐちゃぐちゃになっちゃった。ごめんね?」


って言って、長い指がおれの前髪を整える。


「………。」


ありがと、って。

ありがと、って。


言わなきゃなんないのに。

全然言葉が出ないよ…。


ただでさえ、もうそんななのに、前髪が直ったおれを見て、満足そうに


「うん、かわいい」

ってあいばさんが呟くんだから。


もうね、胸ん中が甘くてたまんないの。




会社に帰って、櫻井さんに報告を済ませれば、今日の、仕事は終わりで。

あと残ってるのは、写真を選ぶのと、レイアウト。くらいらしい。


「2人ともお疲れ様! 今日は帰っていいよ。」

って櫻井さんにいわれて、あいばさんと一緒に会社を後にする。



「いやー、なんか。ひと仕事終えた気分だよね!まだ終わってないけど。」


「うん。 こうやって形になるんだね。」


「…にのちゃん。 ふたりで打ち上げしよ、って言ったの覚えてる?」

「!」


忘れるわけないよ。

おれがどれだけ楽しみにしてると思ってんのよ。


「花火大会は、行くとしてさ。なんか美味いもんでも食おうよ。どこ行きたいか、考えといて? 俺も考えとくから。」


あ、花火大会に行きたい話、覚えててくれたんだ、って思って嬉しくなる。


そしたら、そしたら。

おれ、食いたいもの、ある。


「………。 あいばさんの。」

「ん?」


あいばさんが少し屈んで、おれの口もとに耳をちかづける。


いつもそう。

電車の音で聞こえないのかわかんないけど、おれがなんか喋ろうとすると、おれの背の高さまで屈んでくれる。


こんなの…毎回どきどきするじゃん。


「あいばさんの生姜焼き、食べたい。」

「え? そんなんでいいの?」

「うん。 ゾンビも見たい。」


…すっげぇ。

おれ、めっちゃ頑張った!

家に行きたいって言ったってことだよ!!


そしたらあいばさんが、顎に手を当てて、ちょっと考えてる。


………。

だめ、ってことかな…。

なんてちょっとがっかりして、俯いてしまう。

嫌だったかな、あいばさん…


「ねぇ、それって打ち上げじゃなきゃダメなの?」


「…え?」


「今から来れば?」



…………は?