北欧の暮らし方も良し悪しがあって | がいちのぶろぐ

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現在、スウェーデンの企業で働き、スウェーデンに暮らしている近藤浩一さんという方が書かれた記事が目に留まった。

 

「『お客様は神様』の日本とは全然違う 北欧のスウェーデンで『自宅に届けない宅配便』が当たり前になった背景」と題された記事だった。

 

「スウェーデンの家では、シンプルで機能的な家具」が目立つそうだ。日本にも多くの店を出店している、あの「イケアの家具」の製品である。

 

イケアの製品は、「多くの商品では組み立てが必要で手間が」かかるけれど、「高い人気を誇って」いるという。しかしそれは、日本の店の場合も同様に人気があると思う。

 

ただスウェーデンの人々の場合は、「家庭内のDIYプロジェクトに情熱を傾ける人も多く」いて、「忙しい毎日のなかの、リフレッシュとしても楽しまれて」いるのだという。

 

中には「一から家を建てる」という強者もいて、「自宅建設のための『キット』も販売されて」いるのだそうだ。いや、キットって言われても、プラモデルじゃあるまいし。

 

こうした人は、「仕事後や休日に家づくりに励んで」いる。「専門家に任せれば便利であり時間の節約」ができるけれど、「その過程における充実感や達成感」を楽しんでいるらしい。

 

つまり日本で暮らす私たちには、「不便は悪いことのように見なされがち」だが、「視点を変えてみると、その不便さからほかの人の時間を生むことも」あるのだという。

 

スウェーデンの人たちは「宅配物は基本的に自分で受け取りに行く必要」があるのだそうだが、この「顧客にとっては煩わしい」行為が、「配達員の労働時間」の短縮につながる。

 

イケアの家具のケースもように、「手間な作業からも、楽しみや達成感が生まれ」て来るし、「自由な時間を見直す機会にもなり、新たな視点が開けることも」ある。

 

北欧で暮らす人たちは、自分たちの暮らし方や生活を、このように捉えているということらしい。このあたりは、〝タイム・パフォーマンス〟という日本の暮らしとは大差がある。

 

また「北欧諸国は、個人を尊重し、強要しない社会的特徴が」あるという。だから「上司と部下の間でも、自由に意見を述べることが通常」なのだそうだ。

 

こうした「自由で寛容なコミュニケーションスタイル」は、「礼儀や礼節が重んじられ」る日本とは、やはり随分異なっている。

 

「日本社会は世界的に規律が正しい国として知られ」ているし、「規律重視の文化は、人々の自由を制限するため、個人の幸福感の追求には影響が出ることも」あるだろう。

 

「国連世界幸福度レポートによると、寛容度と自由度が幸福感に大きく寄与することが示されて」いるので、「北欧諸国が高い評価を受けて」いる。

 

その点、日本は「世界で51位と北欧諸国に比べるとかなり低いランキングとなって」いる。これは善悪というよりも、国情の相違という方が良いのかもしれない、と思われるが。

 

それでも、スウェーデンの社会には、「個人の尊厳と平等が重視される風土」があり、「ストレスの少ない社会づくりが根付いて」いるのだという。

 

その点、「日本には『お客様は神様』という言葉があるほど、お客様の要望に答えよう」とするから、「日本のサービスや製品は高品質」という評価を受けている。

 

つまり、それぞれの社会で何を重視しているかによって、社会そのもののあり方が変わって来るのは、当然と言えば当然のことかもしれない。

 

ただ「スウェーデン社会では、自分がサービス提供側に立った場合も考えているため、顧客側も過度なサービスを要求」しないのだという。これが、視点の違いということだろう。

 

「お互いを尊重しながら、極度なストレスをかけずに働く」社会だから、「厳しい規律だけでなく、人々が面白がって自発的にルールを守る方法を模索」するようになって来る。

 

こういう北欧の暮らし方は良い面もある一方で、「広すぎる個人の自由から、会社組織や社会の中で統制が難しくなる場面もある」と、近藤さんも指摘している。

 

「個人を尊重し強要しない社会は、個々の自由度や幸福感を増加させる一方で、行き過ぎれば統制が難しくなるジレンマ」も抱えているということだ。

 

私たちからすれば、北欧の国々は決して近い国ではないけれど、それでも暮らし方や生活の良い面に関しては、多くのことが情報として伝わっていると思う。

 

ただ、そこで暮らしている人々にしてみれば、「個人の自由も重要だが、社会秩序を守ることも同じくらい大事」ということは、やはり感じているらしい。

 

そんなことが書かれている記事だった。なんだか、ボヤッと分かるような気がする。