WBCの熱が冷めやらないうちに | がいちのぶろぐ

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このところSNSで、WBCロスに陥っているという投稿を見ることが多い。

 

確かに、〝興奮と感動〟という表現がピッタリする2週間だった。何しろ〝にわか野球ファン〟が、日本中に溢れ返るほど激増したのだから。

 

この数年間を振り返ってみても、ラグビー・ワールドカップの熱狂や、サッカー・ワールドカップの熱狂があり、東京オリンピックと北京冬季オリンピックもあった。

 

 

 

こうした大きな競技大会で、日本代表チームや選手が活躍すれば、ソレッとばかりににわかファンが急増する。ただし1カ月もすれば、急速に波が引いて行くのもまた事実だろう。

 

それでも各競技団体にしてみれば、こうして世界的な大会で注目されれば、たとえ大波は引いても、その後も多少の遺産は残るから、競技団体としてそれが重要になる。

 

これまでは国内大会での集客に苦労していたけれど、この遺産のおかげで、やはりしばらくは観衆も増えれば、注目度も向上するから選手にも気合が入る。

 

 

 

卓球の場合は、Tリーグが創設されるという動きもあって、選手のプロ化が進んでいる。早い話、収入が急速に改善されるから、若い選手がプロになることに夢が持てる。

 

こうして、いろんなスポーツで次々に有力選手、有名選手が出て来るようになれば、競技のすそ野を広げ、そこから新しい芽がまた育って来る。

 

今回のWBCでは、栗山監督がインタビューなどで繰り返し述べていたけれど、これをきっかけにまた野球少年が増えれば、何よりうれしい効果だったと言えるだろう。

 

社会全体で言えば少子化が急速に進んでいるから、高校野球だって高校サッカーだって、このところは部員数の減少やチーム数減少などが起きている。

 

 

 

さらに、人数が集まらず単独チームでは参加できなくなって、いくつかの学校が合同して参加することも珍しくなくなった。ラグビーでは、その状況が顕著になっている。

 

いやもっと言うなら、中学校段階では学校単位の部活動が良いのか、地域クラブのようなシステムが良いのか、担当教員の負担減少とも絡んで議論になっている。

 

専門的にその競技を経験したことがない教員に、中学生の部活動の指導ができるのか、という問題もある。それならいっそ、地域の経験者に指導してもらえば良いということになる。

 

ところがここで難しい問題と出会ってしまう。地域クラブとなれば、強いクラブなどに参加者が集まり、クラブごとの人数に極端な片寄りが生じないか、という問題が一つ。

 

もう一つは、指導者によっては自分の評価につながるということで、勝利第一主義に陥ってしまう可能性があるのではないか、という点が考えられる。

 

学校の部活動であれば、一応はそのクラブの参加者=その学校の生徒という図式が成り立つから、極端な人数の片寄りは生まれないが、逆に人数不足に陥る可能性もある。

 

こうした矛盾を抱えたまま、現状は学校単位の部活動というものに、スポーツ競技の基礎をおいている。もちろん学校にクラブがなくて、地域クラブなどへ行くこともある。

 

個人競技の場合では、テニスやフィギュアスケートなどのように、小学校段階から学校と関係なく競技に参加する子どもも少なくない。これは、親の金賤的負担にも掛かってくる。

 

 

 

また地域クラブであれ、学校の部活動であれ、勝利至上主義から来る〝怒鳴る・怒る〟指導からの脱却というテーマは、最近の動きとして重要なポイントである。

 

元・バレーボール日本代表の益子直美さんが主宰する、「益子直美カップ小学生バレーボール大会」は、「絶対に怒ってはいけないバレーボール大会」として認知が進んでいる。

 

今回のWBCの熱狂が冷めやらない間に、こうしたスポーツ界全体の基礎となるべき考え方を、もう一度じっくりと見つめ直した方が良いと思う。

 

もっとも、そんな甘いことを言っていれば世界相手には勝てない、という意見もあるだろう。でもスパルタ指導が体罰の温床になりやすいし、体罰が正しいとはまったく思わない。

 

この辺りを、きちんと論議を進めて行くことが、文部科学省スポーツ庁にとって本質的な仕事だと思うのだが。