理容院に行ったけれど、それだけのことが | がいちのぶろぐ

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今週は「菜種梅雨」などという天気予報も出ていたけれど、日曜から昨日までの4日間は何とか日中は雨降りにならずに済んだ。

 

だけど今日は未明から雨が降り、その後は少し薄日が差した時もあったかなというくらいで、それ以外は、いつ雨が降ってもおかしくない分厚い雲にずっと覆われていた。

 

 

(我が家の小庭の木も新緑になってきた)

 

今日はこんな天気具合だったから、さすがに散歩に行く気にもなれず、朝から久しぶりに散髪に出掛けた。

 

これまで長年、散髪と言えば我が家の近くの理容院に必ず行っていた。けれど今日は、ちょっとだけバスに乗ることになるけれど、全国チェーンの理容院まで行ってきた。

 

なぜこんな遠出をしてまで、長年の馴染みだった店からあえて別の、それも全国チェーンの理容院に行ったのか、その気持ちの〝揺れ〟を書いておこうと思った。

 

 

(今日、バス停の前では、葉桜の下でツツジが咲き始めていた)

 

昨日はブログを書かなかった。昨日は京大病院の内視鏡検査の日で、朝早くから午後3時過ぎまで病院にいたので、〝検査疲れ〟のような感じでブログを書く気になれなかった。

 

昨日の検査は、食道ガンの治癒状況を内視鏡で診るのと、CTによって喉から下腹部までを撮影し、転移や再発の有無を調べるということで、2通りの検査を受けた。

 

昨年の4回の抗ガン剤投与の入院と、その後に判明した小さな再発の内視鏡による除去手術のおかげで、それ以後は、ここまでの8カ月内視鏡でも全く問題は見つかっていない。

 

昨日の検査結果も、内視鏡・CTともに主治医からは「問題ありません」と言ってもらえた。内視鏡検査の前になると、さすがに若干の緊張はあるけれど、結果を聞いてホッとする。

 

昨年の夏以後は、2カ月ごとにその繰り返しになっていた。それが次の検査は3カ月先の7月に実施、ということになった。これで、少しは回復基調に入ったと思いたい。

 

だから、今日は雨で散歩に行けないだろうと決めて、昨夜には〝散髪に行く〟と決意した。〝決意〟などというと大袈裟に聞こえるけれど、ちょっと〝思い入れ〟があったから。

 

一昨年の暮れ、ガンが発見されて入院が決まった時、早速、近所の行きつけの理容院に散髪に行った。それ以後は入退院の繰り返しになるから、とにかく散髪しておこうと思った。

 

その後は4回の入院で、延べ400時間の抗ガン剤投与を受けて、実は毛髪がドンドンと抜けていった。これでは「ハゲ」になるではないか!そう思った。

 

いや、それまでに十分「ハゲ」ていた。誰が見ても、どこから見ても普通に「ハゲ爺」だった。だけど、抗ガン剤の影響による脱毛は、自然の「ハゲ」とは別物だった。

 

病院でベッドの枕に、脱毛した白髪がベタッと付着している。黒い毛髪も少しだけ混ざっているけれど、いずれにしても〝普通の抜け毛〟というレベルではなかった。

 

しかも、そこそこ黒かった髪の毛が、いきなりほぼ真っ白になった。そして遠慮なくドンドンと抜けて行く。と言っても、全ての髪の毛が無くなったというわけではない。

 

元々、頭の面積の半分以上は「ハゲ」ていた。だから〝今さら〟と言われても仕方がないことだけど、それにしても毛髪がやせ細ったから、いよいよ少なくなったように見えた。

 

そして抗ガン剤治療が一応終わった5月頃から、ホントに徐々に、徐々にだけど毛髪が生えるようになってきた。ただそれは綿毛のような、ホワホワとした柔らかくて白い毛だった。

 

毛髪の質はこの状態のままだけど、ある程度は長く伸びてきた10月終わりに、10分間かつ安い料金で〝髪カット〟だけをしてくれる全国チェーンの店に行った。

 

その店で、とにかく生え変わったばかりの、ホワホワとした細くて白い綿のような毛を短くカットしてもらった。

 

それからまた半年が経過した。今度は、年齢も年齢だから白髪が中心だけれど、前とは違って割としっかりとした毛髪が、耳を覆い隠すほど長くなっていた。

 

それに加えて、ようやくこのところ気温が高くなってきた。髪の毛をバッサリ切っても、それで急に寒く感じて風邪をひく、という心配もないだろう。

 

だから散髪をしようと思ったのだが、この時になって、今まで長年にわたって通っていた理容院には行き難い気がした。

 

この間1年以上開いたことも行き難い一つの原因だが、それ以上に、きっと髪質が変化したと思うし、何やかやとその理由の細部を説明するのが辛くなったのだ。

 

一昨年の年末に行ったときには、病気のことはいっさい話さなかった。だから、私がガンで入退院を繰り返していたことは、理容院のご主人は知らないはずだ。

 

仮に常連客の誰かから、何かの拍子に聞いていたとしても、やはり本人の口から〝斯く斯くしかじか〟と話をしないといけないだろう。隠し事ではないが、それが言い辛かった。

 

だから結局は、今まで行ったこともなく、全国チェーンだから店舗も大きく、従業員も多い店の方が行きやすく思えた。

 

ということで、今日はあえてバスに乗って少し遠出をしてまで、別の理容院に散髪に行ってきた。頭髪の方はそれですっきりとした。このチェーン店も、決して技術で劣ることはない。

 

だからそれで良いのだけれど、散髪をするというだけのことに、これほど精神的にいろんな葛藤が生じるとは、思ってもみなかった。

 

いわばそれだけのことなのだけど、この自分の心理の動きを書き留めておきたかった。抗ガン剤の副作用で、髪の毛が抜けることは当然知っていた。

 

特に女性の場合、そうした抜け毛の期間に使うためのウィッグを、人毛で作っていることも知っていた。それを手掛けるソーシャル・ビジネスと取り組んでいる人がいることも。

 

だけど、男性で元々ハゲている自分が、こうなった時に何を思うか、自分では想像していなかった。それが、実はこんな感じだったということを、記録として書き留めておきたかった。