ようやく連日の雨から脱出したらしいと思ったら、今度は途端に猛暑日の予報が出され始めた。昨夜など、久し振りに蒸し暑くて寝苦しい一夜になった。
ところで、このブログでも時おり取り上げている経営雑誌「理念と経営」の9月号は、巻頭の対談が随分と刺激的なものになっていた。
対談されているのは、目薬で有名なロート製薬の代表取締役会長・山田邦雄氏と、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏である。
対談のタイトルは「永続する企業とは、変幻自在になれる企業である」となっていた。「変幻自在」という言葉も、何だか久しぶりに聞いたような気がする。
ところで私は「ロート製薬」と聞けば、あのコマーシャルソング「ロート、ロート、ロート、ロートせいや~く~」とともに、目薬の会社だと思い込んでいた。
ところが対談の扉ページには、「ロート製薬にスキンケア事業という新たな柱を据えた山田会長」と書かれている。
すでにロート製薬の「全体の売り上げの半分以上を占める主力事業に育て」たというではないか。〝そら知らなんだ〟という話だ。
さらに「入山先生はロート製薬には失敗を許容する環境があるからこそ、イノベーションが生まれる」とも書かれていた。
これだけでも十分に興味を引かれる対談だと思われた。だから、この巻頭対談をじっくりと読んでみた。そうしたところ、随分と気付かされるところが多い対談だった。
入山氏は、「チャレンジを重ねるからこそ失敗もある」けれど、「失敗を許容する環境があるからこそ、その中からイノベーションも生まれてくる」と言われる。
それは「同族企業であることの良い面が出ている」という。「長い目で物事を見られる」ということだ。
「目先の成功・失敗に一喜一憂せず、長い目で改革を進められる」のも、同族企業であることのメリットだと言われていた。
それを受けて山田会長は、「大きなビジョンが根底にあるからこそ、分野を超えた挑戦ができる」と答えておられる。
また主力商品に成長したスキンケア製品についても、ロート製薬の製品であるとあまり知られていない。これについての、山田会長の考え方が面白い。
「例えばの話、トヨタさんが凄い目薬を出したとしても、ブランド名が『トヨタ目薬』ではあまり買う気がしないと思う」というのだ。
つまり「強いブランドであればあるほど、イメージが限定され」てしまうと表現されていた。
だからこそあえて製造事業者名を表に出さず、ブランドという形式で進めて行くやり方を、入山氏は「ステルス・ブランディング」と表現されたが、確かに言い得て妙だと思う。
また企業風土を作り変えることに関して、入山氏は「企業文化を変えるためには、(中略)まずトップが率先して行動を変えないといけない」と言われる。
山田会長も「変化の激しい時代だからこそ、企業も臨機応変に変わらないと生き残れない」から、「いろいろなユニットに分れていて、ユニットごとに舵を切れる」ようにすべきだと考えておられる。
ただし、「全体が一つの理念でしっかりとつながっている」という企業でありたいと述べておられた。
私は今まで、ロート製薬といえば大阪に拠点を置く老舗企業で、目薬を中心とした大衆薬メーカーだとばかり思っていた。
それが今ではこの対談にあったように、経営方針を大きく変化させており、長い目で次の時代を見据えて変化を遂げていた。
こうした経営者の話は随分おもしろくもあり、こちらもなるほどと思わされることも多い。いつもこの「理念と経営」誌に関して、ステルス・マーケティングのようになってしまう。
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