コミュニティやチームといった人が集まる〝場〟作りを考える上で、我が身を振り返って考えさせられる記事があった。
今日配信されていたダイヤモンド・オンライン誌で、本田直之氏という方が書かれた「避けていたオンラインサロン、始めてみたら想定外に面白かった理由」という記事だ。
本田氏は、これまでもコンサルタントしていくつかのコミュニティを作っておられたという。その際に重視してきたのが、「世界観が一致していて、何が求められているのかが、わかっている人たち」が集まることだと思っていたそうだ。
こうした場であれば、「何も言わなくても思いが通じているし、みんなが望むような行動を取ってくれる」ので、「結果的に、ものすごく居心地のいい場になって」いくからだという。
「コミュニティは、どうやって人を集めるのかが、極めて大事」だけれど、それでも本田氏はこうした原則を崩さないように、コミュニティを作ってきたということだった。
ただし、「コミュニティにとって多様性は重要」だとも考えられる。それでも、「ベースのない多様性だとグシャグシャになって」しまう。
だから、「ビジョンを共有している仲間、感性がつながっている仲間で多様性があることが大事」だと本田氏は考えて来た。
そんな本田氏がコロナ禍の中で思ったのは、立地の良い場所で繁盛していた飲食店などの場合、「お客さんは積極的な理由で行っていたのではなく、便利な場所にあったから消極的選択で行っていた」ということだった。
そういった店はコロナ禍でお客が激減したけれど、「わざわざ行かなければ」ならないような立地にある店の場合は、「積極的な理由で、お客さんは利用していた」という。
だからコロナ禍でも、「むしろ、お店は大丈夫かと、心配する人で賑わっていた」という現実があった。このことで「コロナ時代に目指さなければならないのは、たくさんのフォロワーではない」と気付いたという。
「わざわざ来てくれるファンをたくさん作って」おくことが、この時代に求められる行き方だということだった。
そこで、「これから必要になってくるのは、こうしたファンコミュニティ」だということから、「これからはエンゲージメントの高いコミュニティを作れないと、どのビジネスも生き残れない」と思うようになった。
だから本田氏は実験的にオンライン・セミナーなどを行いながら、ゆっくりとオンライン・コミュニティ作りに取りかかったということだった。
こうした準備を経てオンラインサロンを立ち上げてみたところ、講演会やセミナーなどでは1対n(多数)の関係だったものが、「1対nの後に、1対n対nの関係が生まれることがわかった」と言っておられる。
つまり「オンラインサロンに集まっているメンバー同士が有機的につながって、何かが生まれることがわかっていった」ということだった。
こうして、これまでは「避けていたオンラインサロン、始めてみたら想定外に面白かった」というタイトルにあるような結果を見つけ出したということだった。
私が感じたのは、コミュニティやサロンといった〝人が集まる場〟を考える際には、本田氏が言われるように、「世界観が一致していて、何が求められているのかが、わかっている人たち」が集まるということの重要性だ。
他の人と異なる目的でその場に来られた場合、その場の雰囲気が変わってしまうことは起こりがちなことである。それはやはり避けたいことだと思う。
しかし、それ以上に大事なことは、この〝場〟を大事だと思い、〝場〟のファンになってくれる人たちによってつくられる「ファンコミュニティ」というものだろう。
こうして集まった「ファン」によってつくられる〝場〟であるからこそ、そこでは主催者対参加者という1対nの関係を超えて、「1対n対nの関係が生まれる」可能性も考えられるようになる。
こうしたサロンはオンラインで運営するかどうかに関わらず、〝人が集まる場〟というものを考える時には、どのような場合でも意識しておくべきことだと思う。
もっと言えば、そうなり得るように、主催者側が細心の注意を払って作り上げて行くものだと思う。〝人が集まる場〟作りとは、こうした考え方の下に行われるべきだということだろう。
私が現在関わっている様々な活動の〝場〟で、こうした状況を作り出すための感覚を磨いて場作りの努力をしてきたかどうか、あらためて問い直して行きたいと思った。