茨城県が魅力度最下位を脱出した | がいちのぶろぐ

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茨城県が「都道府県魅力度ランキング」で過去最高となる42位になり、8年ぶりに最下位を脱出したと、今日の茨城新聞(オンライン版)が伝えている。

 

茨城新聞の記事も実にうれしそうな書きぶりで、「県は18年度の組織改編で営業戦略部を新設し、プロモーション戦略チームを置いて観光や農産物など県の魅力発信を強化してきたことが実を結んだ形」と報じている。

 

この調査はブランド総合研究所が毎年実施し、今年も6月下旬から7月上旬に全国の3万人余りの消費者から回答を得たという。

 

 

茨城新聞の記事はさらに続けて、「今年7月には県内企業や団体の代表者らが『いばらきビリ県脱出連絡会議』を発足させ、魅力度最下位脱出を目指す機運が高まっていた」とも書いていた。

 

凄いことだなあと思う。茨城県知事の〝喜びの声〟のインタビューも載せていたし、県庁に「営業戦略部」を作ってしまうあたり、県を挙げて取り組むという意気込みがこちらにも伝わってきた。

 

 

 

なので、この記事の〝ネタ元〟となっているダイヤモンド・オンライン誌の記事も読んでみた。結果から言えば〝コロナ禍〟ということが、調査結果にそれほど大きな影響は与えなかったらしい。

 

その点に関してブランド総合研究所では、「地震などの自然災害が起こった場合も、ブランド力は低下せず、むしろ認知度アップ、『応援しよう』という気持ちにつながる傾向」だったから、今回も影響は限定的だったと説明していた。

 

結果から言えば、北海道が12年連続の1位だった。また2位は京都府、3位は昨年から1つ上げた沖縄県、4位は沖縄県と入れ替わった東京都だった。また上位12位までの顔触れは、昨年度とまったく同じになっていた。

 

調査時点ではウィルスの感染者が多いと報じられていた北海道や沖縄県、東京都の順位が変わらず、つまりコロナ禍があまり影響していなかったことになる。

 

ダイヤモンド・オンライン誌では、「茨城県は42位となり、ついに最下位を脱出した。代わってワースト3となったのは、45位佐賀県、46位徳島県、47位栃木県だった」と書かれていた。

 

 

(偕楽園の梅林/茨城県水戸市)

 

さらに、「茨城県は、なぜ42位にまで順位を上げることができたのか」の解説では、茨城県が「『魅力的』と答えた人は合計で前年の16.5%から21.3%へと大幅にアップ」したと説明されていた。

 

続けて「『魅力的』と答える人が急増した背景」について、調査を行ったブランド総合研究所の話として、「タレントなどが茨城県の農産品を紹介する機会が増えたことが魅力度上昇に寄与している可能性」を挙げていた。

 

つまり、「『認知度』と『情報接触度』に関する」アンケート項目で、「茨城県は順位を上げている」ということらしい。たしかにそれはあるだろうと思う。

 

むしろこの間、連続して魅力度最下位ということを、テレビのバラエティ番組などが〝いじりやすい話題〟として取り上げる機会が多かった。

 

それを逆手にとって茨城県出身の俳優・渡辺徹さんや、タレントの磯山さやかさん、お笑いコンビ〝カミナリ〟の石田たくみさん、竹内まなぶさんなどが、この〝ネタ〟をテレビ的に笑い話として盛り上げていた。

 

 

(カミナリ/左・まなぶ、右・たくみ)

 

〝カミナリ〟の石田たくみさんにいたっては、実家がメロン栽培の農家で、本人もご家族と一緒に特産品のメロンの宣伝に一役買っていたりもした。

 

このように茨城県の『認知度』が上がり、それに伴って取り上げられる農産品や観光地などの話題もあって、自然に『情報接触度』も上昇したのだと思う。

 

こうして調査結果と茨城新聞の記事と並べてみると、何だか微笑ましいというか、こちらまで嬉しくなりそうな気がしてくる。

 

 

(袋田の滝/茨城県大子町)

 

またブランド総合研究所は、「住民向けの『インナーブランディング』と一般消費者向けの『アウターブランディング』は異なるもので、分けて戦略を考えることが重要」だということも指摘していた。

 

これは実に重要な指摘だと思う。茨城新聞に書かれていたように、県庁に「営業戦略部を新設し、プロモーション戦略チームを置いて観光や農産物など県の魅力発信を強化」した『アウターブランディング』の成果だから。

 

さらに言えば、地域の魅力を地域外へ発信するという『アウターブランディング』は、戦略としては地域外に向かっているけれど、それは回りまわって住民に対する『インナーブランディング』にもなり得る。

 

そこに住むことへの誇りや、何よりも実質的な金銭面での見返りとしても、住民に跳ね返ってくる可能性があるから。

 

だからこそ茨城新聞の記事にあるように、「県内企業や団体の代表者らが『いばらきビリ県脱出連絡会議』を発足」させるという形で、『インナーブランディング』としての働きも持ち始めているのだと思う。

 

こうした消費者意識調査が、本来意図したことから思わない方向に伸びて行くことによって、結果として地域に面白い現象を生んでいると思う。

 

これと似たこととして〝B級グルメ〟のグランプリであったり、〝ゆるキャラ〟の日本一を決める投票だったり、そのイベント自体よりも、副次的にもたらされる〝地域の魅力〟を発信することへとつながっている。

 

 

(ゆるキャラの代表格「くまモン」)

 

実は茨城県はまだ42位にしかなっていないにもかかわらず、何だかトップになったような扱いだと思う。〝伸びしろ〟はまだとても大きいから、来年以降も順調に順位を上げられると良いなと思う。