ポスト・コロナ時代のサービス・観光関連事業のあり方は | がいちのぶろぐ

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先日の水曜と木曜に「ポスト・コロナ時代の旅の変化」、「ポスト・コロナの時代のマーケティング」と題して、コロナ騒動によって考え方に変化が生じていることを紹介した。

 

この2日間の考察を重ね合わせると、「ポスト・コロナ時代のサービス・観光関連事業のあり方」を考えることにたどり着くような気がしている。

 

「ポスト・コロナ時代の旅の変化」として、アウトドア旅行など「『三密』を避けること」と、「『絆』というキーワードが重要視」される時代になるだろうということを述べた。

 

このキーワードが導く結果として、サービス・観光関連の事業が「マーケティングやマネジメント」をあらためて考える必要性があるということも書いておいた。

 

また「ポスト・コロナの時代のマーケティング」では、座談会で示されていた「関係性」と「空間性」を軸とした〝類型化〟の視点から、「人と人との向き合い方の再構成」が重要な課題だと述べた。

 

もう一度、この4つの類型化の図を以下に示しておく。

 

 

 

そこで、「鍵のない街」「壁のない街」「顔のない街」「窓のない街」という各ブロックの、どこにどのようなサービス・観光関連事業が関係しているかを考えてみた。その内容を次の図に示した。

 

 

 

ここで考えられるのは、まず「鍵のない街」に該当するのは「外国人観光客の異文化体験型旅行スタイル」ではないかと思う。単に名所・旧跡や有名寺社を巡るだけではない、比較的長期滞在になる旅行スタイルだと思う。

 

名所巡り・寺社巡りなどは駆け足の旅行になりがちで、人と接触する機会も少ないが、異文化体験の旅行では人との触れ合いが重視される。つまり日本人・日本の生活との「向き合い方」がポイントになる。

 

次に「顔のない街」に該当するのは、「絆を深め合いつつ、三密を避けた旅行」ということで、家族やパートナーといった親密なつながりを持った者だけで、アウトドアなどの旅を楽しむスタイルであり、多くの場合は国内の旅行客になると思う。

 

「壁のない街」とは、「コンサートや演劇・映画鑑賞、クラブなどの集まり」という、参加することに制限はないけれど、空間的には一定の閉ざされた場所に集まる場合だろう。

 

飲食店に出掛けて食事をするという場合、自分たちは家族だけでも、飲食店という場の〝機能〟は他のお客にも開かれているから、この類型に入れてもかまわないと思う。

 

4つ目の「窓のない街」は、家庭内での家族パーティーや、ご近所同士が誰かの家で集まるといった、一般的に外部者が入ってこない〝身内感〟の強い集まりである。

 

そうすると、「窓のない街」と関わるサービス事業は、飲食物のテイクアウトや出前(デリバリー)、ケータリングサービスといったことが考えられる。

 

 

 

こうした類型化の下で考えてみると、「人と人の向き合い方の再構成」というポスト・コロナ時代のマーケティングの視点では、どんなことが考えられるだろうか。

 

まず「鍵のない街」ということになれば、まだしばらくは外国人観光客が増加して来るとは思えない。だから当面、このケースは起こりにくいだろう。

 

だが、これから徐々に回復し増加し始めた場合には、やはり〝三密〟を避けつつ異文化体験ができるような方法を、今から考えて準備しておくことが求められる。

 

一方で、「顔のない街」として国内の旅行客にアピールするためには、キャンプ施設・グランピング施設などには需要増が見込まれるから、そのための施設整備が求められる。

 

 

 

またハイキングやサイクリングといった、アウトドア型のアクティビティのためのコース設定や器材の準備なども求められる。

 

「壁のない街」では、集客型施設がきわめて密接な距離感であれば、今後はそれを嫌う顧客が多くなる可能性もある。だから距離感を適切にした施設に変更したり、運営方法を再考したりすることは避けられない。

 

最後に「窓のない街」では、飲食店からの出前(デリバリー)の復活や拡大、ウーバーイーツの利用やインターネットでの〝お取り寄せ〟の採用を考えることがポイントになる。

 

このように考えると、「誰を自分たちの顧客と考えるか」、「どんな顧客をターゲットにするか」によって、どんな施設に変更するか、どんなサービスを提供するかが決まってくる。

 

ポスト・コロナの時代には、明らかに「新しい生活スタイル」がスタートするだろう。それはマーケティングの視点では、「新しい顧客像」を描き直す作業を行うことになる。

 

顧客の意識が変わるのだから、その変化に対応できなければ取り残される。むしろ変化を先取りして、「新しいサービス・スタイルを提案する」という方向が求められるだろう。