「コロナ危機からの脱却」がかなり遅れるようだ | がいちのぶろぐ

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昨日のブログの続編のような内容になる。吉村・大阪府知事と西村・コロナ担当大臣のバトルの、背景・解説となる文章を、今日配信のダイヤモンド・オンライン誌で、慶応大学大学院の岸博幸氏が寄稿しておられた。

 

「コロナ対応が官邸主導から『官僚主導』に変わりつつある現実」と題された記事で、岸氏は冒頭から、54日の安倍総理の記者会見に「大きな問題点として3点を指摘」できるとされている。

 

「第一は、緊急事態宣言を延長することは止むを得ないとして、そこからの出口戦略を何も示さなかった」ことだという。

 

「みんな歯を食いしばって頑張ってきたのは、『連休明けまでの我慢』と思っていた」からだが、これでは「倒産や廃業の選択肢を選ぶお店や企業が激増してもおかしく」ないという。

 

だから、「どのような条件が満たされたらそれらが解除されるのかを具体的に」示さないのは、「あまりに無責任」と言わざるを得ないとしている。

 

その点、「自粛要請についての出口を明確にした吉村大阪府知事の方が、政府よりよほど誠実な対応をしている」と書かれていた。昨日、ブログに書いた通りだった。

 

 

 

「第二は、緊急事態宣言を延長するならば、それに伴う追加的な経済対策(実質的な補償措置)が必要」だったにもかかわらず、「延長に伴う経済対策についてはゼロ回答だった」という。

 

「緊急事態宣言をさらに1カ月延長するのに、追加的な経済対策がゼロ回答というのは、あまりに酷」すぎると批判されている。

 

そして「第三は、大半の企業や国民が本当に悲惨な状態に陥っているにもかかわらず、『それらの人たちに心底寄り添う気持ちはないんだな』と思わせた」ことだと言われる。

 

「多くのお店、中小企業、低所得世帯の方々は、今日明日をどう生き抜くかに必死で、将来のことなど考えている余裕」などないにもかかわらず、「平然と『次なるステップ』という言葉で将来を語る」のは、「あまりに無神経」だと言われる。

 

つまり緊急事態を延長するのは仕方がないけれど、〝出口は示さない〟、〝追加の補償は示さない〟で、挙げ句に冷たく〝みんな頑張れよ〟と突き放した、と岸氏は言われている。

 

本当にその通りだと思う。「コロナの関連での安倍総理の会見は、官邸の官僚が用意した作文をほぼそのまま読んでいる」と岸氏は指摘されているが、その作文の内容までおかしくなったと言われるのである。

 

その理由として、「明らかに総理や官邸がリスクを負うのを避けようとしている」と言われる。「緊急事態宣言の解除に関する判断と責任を専門家会議にほぼ丸投げ」しているし、「追加的な経済対策」は「その判断と責任を与党に丸投げ」しているからだ。

 

「丸投げ」するのは、「判断が誤っていたり批判されたりした場合のリスクから、総理と官邸を遠ざけ」ようとする意図があるからだ、と述べておられる。

 

また、54日の安倍総理の会見には、「『私が何かを決める』という表現は一言も」出て来なかったという。このことから岸氏は、「官邸の官僚たちは、官邸がリスクを負うのを避けるようになった」と見ておられる。

 

この点は、「今苦しんでいる人が多いにもかかわらず未来を語るというのは、現状で成果を出せないときに人の目を現状から逸らそうとするために官僚がよく使う手口」と批判される。

 

その結果起こることは、「コロナ対応は官僚主導となってしまい、中途半端な政策が連発」されるから、「コロナ危機からの脱却にかなり遅れる」と危惧しておられた。

 

「自民党は、当然ながら霞ヶ関の官僚に下請けの作業」をやらせるだろうから、「官僚がつくる政策が幅を利かせる」ことになるとも。何だか悲しくて、やるせなくなってしまう。

 

「日本は明らかに命と暮らしの二兎を追う方針」になっているから、結果的に「中途半端な政策で実現しようとしても、かなり難しい」とまで、悲観的な見通しを示されていた。

 

昨日このブログで書いた「吉村大阪府知事が出口戦略を発表した」際に、西村大臣とバトルになった話でも、岸氏は西村大臣が『強い違和感を覚える』と反発したことを、「小役人根性丸出しの情けない対応」と言い切っておられた。

 

「本来はまず国が緊急事態宣言の出口戦略を明確にした上で、それを受けて知事が自粛要請の出口戦略をつくるのが筋」とした上で、「役人的な理屈を持ち出して不快感を露わにする」のは「情けなく感じて」しまうとまで言われる。

 

このことは、昨日もブログを書きながら私も思ったことだった。その点は、すぐに謝罪のツィッターを出した「吉村知事の方が、政治家としても人間としてもよほど上手だし大人だ」と述べられていた。

 

だから、「自らリスクを取って政治判断を行っていく吉村知事を見習ってほしい」と結んでおられた。

 

今日の内容は、岸氏の寄稿を〝丸パクリ〟してしまっている。それはわかっているし、著作権法違反だと言われたら、はいつくばって平謝りするしかないが、実によくわかる解説記事だった。

 

岸氏はテレビ番組でも解りやすい解説をされているし、ご自身が官僚出身で総理秘書官も務めた経歴を持っておられる。その方が、ここまで踏み込んで批判的な論調で書かれていること自体が、相当に根が深い問題だということだろう。

 

今日は、この寄稿を読むことができて、この間の動きがよくわかったように思う。付け加えて岸氏は、アベノマスクに対する大きな非難が起きたことなどで、官邸の官僚も「自信喪失」しているのではないか、とも書いておられた。

 

 

 

こんな状態でありながら、〝指導力のかけら〟も持っていない総理が、53日には〝いけしゃあしゃあ〟と『緊急事態も改憲に盛り込みたい』などと発言した。

 

その昔、親に口答えした時に、〝どの口が言うたんや~〟と〝ほっぺ〟をひねられながら怒られた記憶がある。今回は、親でもないけれど〝あの人〟にそれをやりたい心境になっている。