インバウンドに 食の文化を 伝えたい | がいちのぶろぐ

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環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

昨日のブログで、年齢層の違いによって、旅行の楽しみ方や行動にも、当然ながら違いが出てくることを考えた。その時に、年配の方の旅行の場合には、名所巡りもさることながら、食事も旅行の楽しみの一つだということを書いた。

 

このことと関連して、最近では「グルメ旅」という旅の目的も普通のことになっており、特に若い女性だけのグループの旅行などでは、そういう傾向が強くなっている。

 

これをさらに掘り下げて、外国人観光客の場合ならどうなのだろうか、と考えてみたが、これもまた一括りにして考えるのは難しいと思うようになった。個人の属性(年齢・性別・国や文化圏)によっても、かなり異なっていると思われるから。

 

外国人観光客が、日本を訪れて食事をするシーンを創造するのだが、その観光客が何よりも「和食」をどう考えているか、ということが分れ道になるポイントだと思う。

 

日本に来たのだから、一度は「日本らしい食事」、すなわち和食を体験してみたい、と考える人が多いと思うが、そうばかりとも限らないだろう。何よりも食べ慣れた食事の方がいい、という人もきっといるだろう。

 

私たちも海外旅行をした際に、なぜか醤油味が恋しくなって来ることもある。私も少し長く海外に行った場合など、帰国して最初に思ったことは、「うどん」を食べたい、だった。

 

それに、ある程度年配の外国人観光客で財布に余裕のある方と、若くて行動的で、何でも見て回ろうと思っている人でも、食事への関心は異なっているだろう。

 

一概には言えないけれど、こうしたことを図式化して考えると、次の図のようにまとめられると思う。縦軸に「年齢層の高い・低い」を取り、横軸に「和食に関心が高い・低い」を取って考えてみた。

 

 

 

私自身の体験として書いたように、滞在日数によっても変わって来るだろうし、日本が初めてかどうかによっても、考え方は変わって来るだろう。それも踏まえて、まとめたつもりである。

 

年齢層が高くて、和食に関心が高い人なら、一度は本格的な和食を、本格的な料亭で味わってみたいと思う人もあるだろう。

 

 

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(京都の老舗料亭「瓢亭」)

 

逆に何度目かの来日であり、和食に興味があまりなければ、自分が食べ慣れた食事を、それも美味しい料理を提供してくれる店を探してみたい、と思うかも知れない。最近の日本なら、探せばたいていの国の料理を出す店があるから。

 

また、年齢層が低い、すなわち若い人たちで、極端な場合ならバックパッカーとして世界を回っているような人であれば、和食と言っても高価な料理は無理だから、居酒屋などで手軽に日本料理を味わってみたい、と考えることもあるだろう。

 

和食にはこだわらないとか、特に関心がないという若い人であれば、安いハンバーガーショップなどのファスト・フードで済まして、食費を節約することになるかもしれない。

 

外国人観光客と言っても、このように考え方は大きく異なってくると思う。せっかく日本に来たんだから、和食を体験してほしいとこちらが思っていても、まずは個人の食への関心の度合いによって変わってくる。

 

それとともに、和食が海外で広がっている間に、「現地化」され、徐々に変化しているケースもある。それを和食だと思っている、ということもあり得るから、かえって日本で食べてみて、びっくりするかもしれない。

 

お寿司で有名な例として、「カリフォルニア巻」というものがある。アメリカで巻き寿司にアボカドなどを入れて巻いたことから始まり、最初は私たちもびっくりしたが、今では逆輸入されて、回転寿司など出てくることもある。

 

そう言えば、フランスの「焼き鳥」の店では、チーズに薄切り牛肉を巻きつけて焼いた「肉巻きチーズ串焼き」などもあるらしい。これなどは美味しそうに思える。ワインを飲み合くなるだろうなあ。

 

だから、食文化もそれぞれのお国柄もあれば、食べる人の好みもある。一概には言えないけれど、やはり年齢層がある程度高くなって来ると、その国へ行ったのなら、本場の味を味わってみたいと思うようになるだろう。

 

もちろん財布と相談だけど、観光旅行と言っても、その中で食事の占めるウェイトはやはり高いと思う。そうなれば薄っぺらい「グルメ旅」などではなくて、和食を食べる楽しみをきちんと伝えることも、大事な「おもてなし」だと思う。

 

食が国境を越えて広がり、その中で徐々に現地化することは仕方がないことだと思う。慣れ親しんだ味が、やはりどの国でも一番美味しい食事だろうから。

 

でも、日本で和食の楽しみを味わってもらうことも、外国人観光客への「もてなし方」だと思う。そのために本当に大事な「もてなし方」とは、メニューの多言語化や、料理写真が載せられたメニューの準備といったことだと思う。

 

こうした気遣いが、外国人観光客にとってこの国と、その時の旅行が良いものだったと思ってもらえるのだと思う。