古都奈良と 神戸を結び 早や十年 | がいちのぶろぐ

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今週は暖かくなる代わりに全般的にぐずつき気味で、雨が強く降る日もあるという予報が出ている。今日は幸い好天だったが、

 

この島国の太平洋側では、寒いけれど安定して晴れの日が続いていた冬型の気候から、いよいよ春に向かって、周期的に天気が入れ替わる時期になってきたようだ。

 

ところで、先日配信されていたインターネット情報誌「TRIP EDITOR」に「阪神・近鉄つながって10周年」という趣旨の記事が敬愛されていた。

 

関西圏の私鉄である「近鉄」の「難波」駅と、「阪神」の「尼崎」駅の間が、阪神の〝西大阪線(西九条~尼崎)″を経由してつながってから早や10年になるという。

 

 

この難波~西九条~尼崎間は何十年も前から、つなぐという構想だけは存在していた。それが実際に陽の目を見てから、もう10年になるということだ。

 

10年前につながったこの区間の真ん中あたりに、元々は大阪ガスの工場だった場所に、「大阪ドーム」(現・京セラドーム大阪)が開場したことで、改めて現実的につなぐことになった大きなきっかけだったのだろうと思っている。

 

 

 

それまでこの区間は、中小規模の工場なども存在する、大阪市内でもどちらかと言えば都市開発が遅れた、〝灰色の町″的なイメージが強い一帯だった。

 

それでもさらに歴史を逆のぼれば、大阪港にも近く、運河などを行き来する船も多い、西大阪の活気あふれる〝工業地帯″だった。ただ、それが災いして、近代都市としての発展が立ち遅れることになったということだ。

 

だから今もなお、この一帯にオフィス街があるわけでもない。そんなこの一帯をつなぐ鉄道を、巨額を投資して結んでみても採算が取れるのか危惧された。それで結果的には、長らく立ち消えの様になっていた。

 

だが「大阪ドーム」という巨大な〝集客施設″の開業をきっかけに、大阪ベイエリアが見直されることになり、ようやく線路をつなぐことが決まったということだったのだろう。さらに、「西九条」駅からは、ユニバーサルスタジオ(USJ)も近い・

 

 

 

 

それが、この区間が鉄道で結ばれたことで、神戸市の中心部の阪神・三宮駅から、大阪・ミナミのナンバを経由して、大仏様の東大寺や興福寺にも近い近鉄・奈良駅までの間が直結されたのだ。

 

 

(興福寺・五重塔/奈良市)

 

日常的な通勤で考えれば、大阪のオフィス街の梅田~ナンバ間へ行くということでは、あまり大きな効果があるわけではない。

 

ただ、関西圏の鉄道網ということで言えば、滋賀~京都~大阪~神戸~姫路間はJRでつながっており、京都~大阪~神戸間には私鉄の阪急もある。また奈良と大阪・京都はそれぞれ近鉄やJRでつながっている。

 

つまり関西圏として見れば、奈良と神戸を直接につなぐ路線だけが存在していなかった。JPも奈良~大阪間であり、大阪駅で改めて大阪~神戸の路線に乗るという具合で、精神的な問題かもしれないが、切り離されていたイメージだった。

 

それが、この近鉄~阪神が結ばれたことよって、何とはなしに一体感が生まれたと言っても良いと思う。

 

鉄道路線のイメージ図を見れば、その「何となくつながった」という感覚がわかるのではないかと思う。

 

実際にどれだけの乗客が、奈良~神戸間を利用しているかは、交通センサスなどのデータもあると思うが、きっとそんなに大きな数字ではないと思う。ただ鉄道網のイメージ図を見れば、一つの圏域として一体感が出来上がったということは分かるような気がする。

 

「オシャレな港町」の神戸と、「活気があるおもしろい町」の大坂・ミナミと、「観光都市」の古都・奈良が、一つの路線上に並んでいるということは、とりわけ外国人観光客に向けてアピールする上で、随分大きなメリットがあると思う。

 

 

)神戸港の風景)

 

これは、実は奈良よりも神戸の側に、より大きなメリットがあるのではないかと、私は思っている。外国人観光客は、京都~奈良~大阪という三角形で移動して観光するのが中心だったと思う。

 

その観光という面で見れば、大阪でも明らかに難波を中心とした「ミナミ」が観光スポットである。道頓堀や、食べ歩きで有名になった「黒門市場」もこの地区にある。

 

 

 

だから従来、外国人観光客は京都→奈良→大阪・ミナミという順路で巡って(またはその逆回りで)、観光をしていたのではないかと思う。

 

そこへさらに、大阪・ミナミ→神戸というルートを考えれば、随分と関西圏が広域的な観光地となる。しかもその先には、「国宝・姫路城」も控えている。

 

だからこそ、これからの関西圏での観光を考えれば、この路線が稼働していることの意味は大きい。姫路城まで足を伸ばしたとしても、そこからもう一度、関西国際空港へ戻るにも便利なのだ。

 

 

 

難波であれば、和歌山方面に行く南海電鉄の「関西空港」直行電車も利用できる。こうして、関西圏が有機的連関性を持つことになる。

 

2025年の「大阪万博」を視野に入れれば、この広域連携は随分と意味がある。私自身は、近鉄と阪神が結ばれて、もう10年も経ったのかという感慨も持っている。

 

私の人生でかなり長い期間を、私は大阪ドームの近くまで通勤していた。我が家からであれば、乗り換え、乗り換えで合計2時間余りを掛けて通っていた。

 

その頃は、この近鉄・阪神の接続は、もう「ない話」だと思っていた。それが、私がそこへ通勤しなくなって、さらに随分経ってから、この接続が実現した。

 

もし早くに開通していても、私はこの路線を使って通勤したわけではない。だけどこうして、改めて「接続して10年」と言われてみると、ホォーと思ってしまう程度には、思い入れのようなものがある。

 

鉄道ヲタクというわけではないが、ちょっとそんなことを考えてしまった。