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第45~46帖

橋姫(はしひめ)~椎本(しいがもと)

「場面」

薫は源氏の異母弟で隠居している宇治の八の宮を

仏道の心の師と慕い しばしば宇治へ訪れます

宇治の八の宮には「大君(おおいぎみ)」「中の君」という

美しい娘姉妹がいます

3年目の秋 薫は老女の弁の君から柏木の子だと聞かされ

自分の出生の真実を知らされます

 

薫が大君に詠んだ和歌

  「橋姫の心を汲て高瀬さす棹のしづくに袖ぞ濡れぬる」

   

   橋姫(姫君)のようにこの山里で寂しく暮らしてる

             貴女を思うと涙で袖が濡れてしまいます

 

大君の返歌

  「さしかへる宇治の川長(かわおさ)朝夕のしづくや袖を

                            朽たしはつらむ」

   

    宇治の船頭のようにもうずっとこう暮らしています

               私の袖も泣きすぎて朽ちてしまいます

 

「橋姫」とは平安時代の頃は京の都から離れ宇治に暮らす

愛しい恋人の意味が込められていました

「橋姫」が鬼女になったのは鎌倉時代の頃だそうです

 

父 八の宮は二人の姫君達に訓戒を残して亡くなると

姫君達は悲観にくれ 薫と匂宮に心を閉ざしてしまいます

 

八の宮が亡くなる前に詠んだ歌

  「我なくて草の庵は荒れぬとも この一言はかれじとぞ思う」

 

   私の亡き後この草の庵は荒れ果てても

         娘達の後見人になる一言だけは信じております

 

薫が八の宮を偲んで詠んだ歌

  「立ち寄らむ陰とたのみし椎が本むなしき床になりにけるかな」

     

     立ち寄るべき陰と頼りにしていた椎の本

         空しく跡をとどめているだけで空しい床になりました

 

 

(薫20~24歳)

 

 

 

第47帖

総角(あげまき)

「場面」

薫と匂宮が舟を仕立て

管弦で遊ぶ姿を姫君達が対岸で見ています

 

薫が一周忌法要に寄せて大君(おおいぎみ)に詠んだ歌

あげまきに長き契りをむすびこめ 同じところによりもあはなむ」

 

    長い紐で作った総角(組紐で作った飾り)みたいに

                       ずっと長くいたいものだ

 

大君の返歌

「貫きもあへず もろき涙の玉の緒に長き契りをいかが結ばん」

 

紐なんかで繋げないもろい涙なのに 

     どうやって飾りなど作れるのであろう

                   将来なぞお約束できません

 

亡くなった八の宮から二人の姫君の後見人になった薫は

想い人である大君と 

そして妹の中の君には匂宮との結婚を考えます

しかし匂宮は宇治に行っても中の君に逢えず

夕霧の娘六の君との結婚が進められ

姉の大君は悲観し病に臥し薫に看取られ亡くなります

 

もう父の八の宮もいない宇治は二人の姉妹だけです

とても とても心細いこと事でしょう

妹の中の君がなかなか結婚に心が傾かない内向的な性格を

嘆くくらい大君は自分の将来よりも妹の将来を

気にかけていたのだと思います

 

(薫24歳)

 

 

 

 

第48帖

早蕨(さわらび)

「場面」

鬚籠(ひげご)に入った贈り物が届き

姉・大君を亡くし悲しむ妹・中の君にも春が訪れます

薫が後見人になった中の君は

匂宮が自邸の二条院に迎え入れます

しかし薫は大君の死を悲しむ反面

中の君を匂宮に譲ったことを後悔します

 

巻名は中の君が詠んだ歌

「この春は誰にか見せむ亡き人の形見を摘める嶺の早蕨に」

 

今年の春は誰にお見せしましょうか 

       亡き人の形見として摘んでくれた山の早蕨

(早蕨・さわらびとは芽を出したばかりのわらびのこと)

 

つまり中の君は姉の大君が生きていた頃なら

父を偲んで贈り物を見せ合う事も出来たけれど

その姉さえ亡くなった今となっては

共に死者を悼む人もいなくなったと嘆いているのです

 

(薫25歳)

 

 

 

今回の3場面は悲しみが込められているばかりの歌です

そして 薫・匂宮・中の君という3人の三角関係が

うまれてしまうのです

 

 

 

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今日のおまけ

母ちゃんがゲーセンで取った

ベビーカーとおいら