事務所には、連日、多数の所属応募が舞い込みました。
しかし、清太郎は「所属には厳しい審査を設けています。ご利用は計画的に」と消費者金融の様なコメントをHPに書き込み、殆ど見送りました。
実態はAV女優発掘事務所だとバレる事を恐れたのです。
清太郎は焦っていました。これ以上、知名度が上がると、ヤバイ事になる…、
しかし、そんな清太郎を他所に、ユーチューバーによってワールドワイドに拡散された影響は大きく、連日、黒山の人だかりが出来ていました。
更に、各旅行会社は「麻衣子見物ツアー」を企画し、物見遊山的な観光客が、国内外を問わず、連日、訪れる様になっていたのです。
外人「ジャパニーズ マイコ~!最高ですね~」と、麻衣子を舞妓だと勘違いしていました。
そのうち、事務所の前は風水学的にパワースポットになっている、とか、片思いでも熱い思いを持続できるホットスポットになっている、などと都市伝説まで飛び出していました。
麻衣子もオーディエンスの期待に応えて「この左腕のイカ焼きが目に入らねぇか!」などと大見得を切り、立ち回りも派手になっていました。
麻衣子のリストカットは、見物ツアー最大の見ものとして、その瞬間をカメラに収めようと、麻衣子の直ぐ近くまで群衆が押し寄せます。
ツアーガイド「ハイ!麻衣子さんの身体には手を出さないで下さい!」規制のアナウンスが入ります。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•
それまで、この周辺は閑散とし、商店街も閉店の一途だったのですが、一気に観光収入で潤い、買い物客で賑わうトレンディシティになったのです。
一説によると、麻衣子の経済効果は、5億とも囁かれていました。
麻衣子は社会現象を巻き起こしたのです。
「この街に麻衣子あり!」
いつの間にか、麻衣子は街の人々から温かく迎えられる存在となっていたのです。
それは、物心ついた頃から除け者にされ、イジメられて育った麻衣子にとって、世界が変わった瞬間でした。
麻衣子(清太郎が居なくても、リストカットしなくても生きて行けるかも知れない…)
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•
しかし、群衆の中に、異彩を放つ人物が紛れ込んでいました。
サングラスに夏でもヨレヨレのトレンチコート、目の前にはブラインドを吊るし、そこから眼光鋭く覗き込んでいます。
本人は群衆に溶け込んでいる積もりでしたが、かなり目立っていました。
そう…、
警察が張り込んでいたのです。
つづく
