貧乏に嫌気が差した男は、何とかこの生活から抜け出したいと観音様に祈ります。
「初めに触った物を大事に持って旅に出よ」
何処からか不思議な声が聴こえてきました。
おお!これは、観音様の告げだ!
有り難や〜。(>人<;)
男は観音様を後にするや否や、石につまずきます。
あっ、痛てぇ❗️>_<
その時、藁が手に触れたのです。
えっ⁈ マジで?
これを大事に持って旅に出ろってか?
と、内心では疑った男ですが、これが観音様のお告げならば…、
と藁を手に旅に出ます。
ぶ〜〜ん、ぶ〜〜ん、ぶ〜〜ん
煩いアブだなぁ、
そんなに俺に付き纏いたいなら、離れられなくしてやるぜ。
普通ならパチン!と殺すところでしょうか、そうはしなかったんですね。
男はアブを捕まえると、その脚を藁で縛りました。
(手先が器用過ぎるやろ⁈)
へへへ、こりゃ面白れぃや!
旅は道連れ、世は情け。
道中のお供が出来たって訳だ。
アブさんよ、仲良くしような。^_^
しばらく歩くと、駄々をこねて泣きやまない子供と、その母親に出会います。
子供は、アブのオモチャを見るなり、ピタリと泣くのを止めました。
子供「ママ、あれが欲しい、欲しいの〜!」
母親「すみませんが、そのアブノーマルなオモチャを譲って頂けませんか?」
男「すまねぇ。これは訳ありな代物なんでな、ゴメンよ坊や」
子供「嫌だ、嫌だ、嫌だ〜!欲しいの〜〜、ママ何とかゲットして!」
母親「ここにミカンがあります。これと物々交換なら如何ですか?」
悪い話ではありません。
心が揺れます。
葛藤の後、交渉成立。
なんと❗️
男は、観音様の有難いお告げを早々に破ったのです。
罰をも恐れぬこの男、只者でない…、いや、只のお人好しか⁈
金持ちになりたいという野望は、捨ててしまったのでしょうか?
暫く歩くと、喉の渇きに苦しんでいる商人に出会います。
男は、思わず持っていたみかんを差し出します。
商人は脱水症状から抜け出せたお礼にと、高価な反物を渡します。
めでたし、めでたし。
ほんの些細な元手が、価値のある物に変化していくサクセスストーリーは、誰しも興味を抱くお話しです。
世界各国にも似た様なお話しはあるそうです。
でも、ここで、不思議なのは、男は観音様のお告げを守らなかったのに、心願成就した事です。
昔話にしては、絶対的地位の観音様のお告げに背いたのに、何故、ハッピーエンドになれたのか?と疑問が残ります。
昔は、領主による悪政や理不尽な御触れに、庶民は一方的に苦しめられていたと思います。
(今も変わりませんが…)
それでも、領主様は絶対的お立場、神聖にして侵すべからず、楯突くなんてタブー❗️と畏敬の念さえ抱いていた無知、無能な庶民が殆どだったと思います。
(思考能力さえ奪われていた)
しかし、真実を見抜く目を持っていた庶民だって大勢いた筈です。
この男が観音様のお告げでさえ背くクダリは、庶民の鬱積したストレスに風穴を開けた瞬間だったのではないでしょうか?
男は、金持ちになりたいと願ったのに、お告げに背いた瞬間から、そんな野望は捨ててしまいます。
いや、忘れてしまっています。
それよりも、困っている人々を目の前にして、何か自分に出来る事はないか?
ただ純粋に、その一心で持っている物を差し出します。
その結果が、更なる福を呼び込み、結果としてお金持ちになれたんです。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
目標を立て、それに向けて努力する事も大切ですが、必ずしも努力が報われるとは限らない世の中です。
目標を立てても、その目標が達成されなかった時、人は挫折を味わい、やる気を失います。
それよりも、目標を立てず、今、出来る範囲で、出来る事を頑張る方が長続きするし、結果は付いて来る気がします。
きっと、観音様は男を試していたのでしょうね。金持ちにするだけの人徳を持っている人物かどうかを。