例えるならフルパワーでバターを塗るおっさん | ザックの『押してもダメなら弾いてみな!』
相変わらず練習をする時間は無いが、考える時間があるのは幸いだ。
仕事帰りの電車などでは、ほけーと窓から外の風景を眺めながらバイオリンの事を考えるのが習慣になっている今日この頃。

さて、振り返ってみれば去年の夏頃にかけてずけずけ弾く練習をしたおかげで所謂バイオリンの音っぽいのが出るようになった手応えを感じていたのだが、年末にタイスの瞑想曲を発表会で弾いたものを自分で聞いてみると

いや、でもそうでもないかなー(´・ω・`)

といまいちな感想を持ってしまう出来栄えだった。
そんなわけで、毎度の事だがどうすれば改善して良い音が出せるようになるか思案してみた。



弓のブルブルを抑えるために弓圧を上下方向で釣り合うように調節する考え方は良いと思う。
そうすると弦に余計な上下方向の力が加わらなくなり、ロス無く力が伝達され横方向のみに弦は振動し音も綺麗になる、はずだ。
うーん、横。
横の振動か。
ちょっと視点を変えてみるのが良いかもしれない。
これまでは、弓圧に重点を置いて考えてきたがちょっと視点を変えて弦を振動させる事に注目してみようか。

考え方を整理してみる。
そもそも。
バイオリンをしっかり鳴らすという事はバイオリンの本体をしっかり響かせる事だ。
ずけずけ弾く練習をしてそれがわかるようになってきた。
そして本体を響かせるという事は弦をしっかり振動させてそれを駒を通じて本体に伝達させるという事だ。と思う。
それを踏まえて思考のステップを組み直すと
これまでは

「バイオリンを良く鳴らす」

「そのためには弓圧をしっかりかけなくてはいけない」

というステップを経た思考をしていたが、これに対して弦を横に振動させる事を良しとするステップを追加してみよう。
「バイオリンを良く鳴らす。それはつまり本体をしっかり響かせることだ。」

「そのためには弦をしっかり振動させる」

「そのためには弦の振幅をしっかり発現させる」

「そのためには弦を引っ張りきるだけの摩擦力が必要」

「そのためには弓圧をしっかりかけなくてはいけない」
お、なんだよ、むしろこっちの方が筋が通ってる感じがするじゃないか。
あまり音楽的なイメージではないが、ここはひとつ物理的に考えてみる事にしよう。
まずは弦の最大振幅を発現できる弓圧を探る。
弦を引っ張るための摩擦力。それを得るための弓圧だ。

速攻で夕食を済ませ早速試してみた。
そういえばご飯をかきこんで遊びに飛びつくってのは随分久しぶりの事だ。
テンションは上がっている!
~♪

弾いてみるとちょっと世界が変わった感を感じる。
弦を引っ張ろうと考えると弓圧が足りない。いや、足りないと言うよりはもっと弓圧をかけても大丈夫という感触がある。弦の最大振幅を発現させようとするとこれは相当なパワーとスピードが必要になりそうな予感だ。
特に気になるようになったのがダウンボウの時に弓先にいくほど弦の振動が減衰すること。
いや、そりゃ手元から離れるほど弓圧も下がるし当たり前と言えば当たり前だわ。
と、そこまでで思考停止していたのがこれまでの僕だったのだが、今は見える世界が違う。前述したようにまだまだ踏み込める感触はあるのだ。だったらもっと弦を振動させてしまおう。
ぐいと弓圧を加える。ちょっと弓をそらすと言うか、てこの原理的なアレで弓先まで圧が伝わる。
~♪
お、良い感じ( °д°)。
弦が振動しているのがわかる。そして弓先にいくほど尻すぼみに音が小さくなっていたのが改善出来ている。
なるほどよく言われるアドバイスにある弓先まで使って弾く、とは位置的な話だけでなく弓先まで音量を保って弾くという事なのかなと今更ながら納得できた。

そして逆にアップボウ。
こちらも結構弓圧が足りていなかったようだ。バリバリ弦を振動させるにはもっと弓圧をかけられる。ぐいと弓圧をかけてみた。
押し込みながら手前に引き寄せる感触をこれまでに無いほど強く感じた。そして唐突に理解した。
ああ、これがバターを塗るってやつか。
これまたよく言われるアドバイスにバターを塗り込むように、と言うのがある。これまでイマイチそんな感触はなかったが、今なら言われてみたらそうかもしんないと納得できる。

アップダウンともにボウイングの感触に新しい発見があったが、一番大きかったのは腕の力みがかなり軽減できるようになった事。
今までは兎にも角にも弓圧をかけるの一点集中思考だったのだが、弦の振動に主眼を置いて考えるようになると「あ、この程度の力加減でも十分振るわせられるやん( ゜∋゜)」と思えるようになったら何だか自由に腕を動かせるようになった。
弓圧をかけるというのは言わば手段。弦を振動させるという目的に焦点を当てると手段は体が自然と適応してくれるというか、楽な形を求めるようになってくれると言うか。感覚的な話で説明しづらいな。

てな具合に、これらの発見のおかげだろうか。
弓の返しの時の音のつながりもスムーズになってきた。

あ。( ゚Д゚)

そうだ音のつながりが前よりも良くなってきたのだ。
どうやら思いもかけず、目下のところの課題である「弓の返しの際の音のつなぎ」の解決の糸口をつかめてしまったようだ。
上手くいった理屈をかみ砕いて消化してみよう。

これまで弓を返す時に音の隙間が目立つのはその動作にロスがあるからだと考えてきた。
だからロスを無くそうと色々とボウイングの変化を試みたのだが結果は、弓を返すところだけ不自然に速度が速くなったり、拍子を前倒しして手前の音にかぶせてしまったりと良くない結果しか出せなかった。
そして、どうやらこれは勘違い。弓先まで音を鳴らせるようになって気づいた。
問題だったのは弓を返す動作ではなく返す前後で音が小さくなることだ。
これまで弓先を使うに従って圧が下がり弦の振動が減衰され音は小さくなり、また「弓を返すぞ!」という意志が強すぎて弓先まで音を鳴らさず弓を返す動作に移っていたせいもあり段階的に音量は下がりやがて0に至っていた。
弾いてる時の音量を100とすると弓を返す前後では
100→50→0→50→100
みたいな変化をしていたと思う。

こんなん  『  ̄\/ ̄ 』

これを弓を返すぎりぎりまで音の大きさを保って
100→90→0→90→100
と出来れば

こんなん  『  ̄ ̄Y ̄ ̄ 』

になれば隙間が目立たなくなるのだろう。
この時僕の頭に浮かんだのは諏訪湖の氷上に空いたワカサギ釣りの穴でだった。そういうこった。
今回、弦を振動させる事のみに着目し弓を返す事はあまり意識しなかった事が結果として吉と出たようだ。

先生が言っていた「前の音を残すイメージで」というアドバイスにいまいちピンと来る事が出来なかったが今ならよくわかる。
しかし、出来るようになってからアドバイスの意味を理解出来るというのがなんとももどかしいが(´・ω・`)。


解決の糸口がつかめ俄然やる気が出てきた。
感覚を定着させるために音階練習からもういっぺん浚いなおそう。いくぜ!


「ちょっとザックさん。今、何時だと思ってるんですか?(`Δ´)」


ふおぉぉぉ!活動限界!!!(´;ω;`)


→ to be continued!!