8月17日付朝日新聞(夕刊)の記事によれば、今年度から、東京都教委は、公立学校の全教職員6万人を対象にストレスの度合いを調べる検査を始めた、とのことである。


心を病んで休職する先生は全国的に増加傾向であるが、東京では特に増加率が高い、という。


検査は定期健康診断に合わせて年1回実施される。

検査により、精神疾患になる危険性がある場合は病院での受診や臨床心理士への相談を進めるとのこと。


都教委の調べでは、休職の1ヶ月前に初めて受診するという人が全体の約7割を占め、休職が避けられない状態になるまで病気に気づかない人が多いということから、この検査は、早期発見と予防を目的としている。



私自身も、教育委員会の場で、心の病を抱えて休職する先生のことをしばしば見聞きする。

原因は様々であろうが、朝日新聞の記事にもあるように、保護者対応と多忙というのが大きな原因であるように思われる。


先生たちが心身共に健康でなければ、学校教育がうまくいくはずがない、と思う。


人を追いつめて事態が好転するなどということは、まずないと言ってよいと思うのだが、教育のことになると、先生が責められる、先生に負担が課される、という場面に遭遇することが多いのは残念である。


さて、どうしたものか。

検査をして「早期発見と予防」といっても対症療法でしかないのだから、もっと根本的な部分で解決する必要はあると思うが、なかなか難しい問題である。


今年の夏、全国の教育委員会は、来年度から中学校で使用する教科書を決めている。


わが教育委員会でも、すでに2回にわたって採択の審議をしており、これまでに主要5教科の採択は終わっている。

残すところ、あと5教科である。


昨年の、小学校の教科書採択の時にも思ったのだが、最近の教科書は、私が小中学生だったときのものとは、ずいぶん趣が違う。


まず、サイズが大きい。

そして、「ビジュアル系」で、何かと親切な感じである。

こんな説明じゃ、全く伝わらないと思うが。


中学校の教科書採択といえば、かなり気が重い「歴史教科書」「公民教科書」問題がある。

いわゆる「つくる会」系の教科書を採択すると、必ず、新聞に取り上げられる。

今年は、例年に比べて「つくる会」系の教科書を採択した教育委員会が多いようである。


わが教育委員会は「つくる会」系は採択しなかった。

(というか、これに1票を投じた教育委員はいなかった)



「つくる会」系の教科書は2社から出版されているが、そのうちの1社の教科書編集趣意書(公民的分野)には「愛国心の涵養」ということが「教育内容」として掲げられている。




私は、愛国心にあふれる日本国民のひとりとして思うのであるが、私が国を愛するのは、この国では表現の自由が保障されており、民主的な政治体制があり、豊かで、平和で、人々は穏和で、まじめで、親切で、忍耐強く、思いやりがあるという、そういう国だからであって、教科書に書いてあったからではない。


きょうび、公共心を欠く人たちが増えたなどと言われて、愛国心を育てたい気持ちはわからなくもないが、もし、愛国心を欠く国民が増えたのだとしたら、その原因は国民の側にあるのではなくて、ひょっとすると国家の側にあるのではないか、ということに思いを巡らせる必要がある。


そして、国家の側に問題があるのだとしたら、その問題を民主的な過程の中で解決すべきであり、その際、国民はその問題解決に主体的・能動的に関わる必要があるはずである。

そういう国民を育てるのが、教育の目的のひとつではないかと思う。


なんて大上段な「物言い」だろうと(我ながら)思うけれど、まじめにそう考えているので、そんなふうなことを教育委員会の場で発言してみた次第である(実際はもっと長く熱弁した気がする)。


「熱い夏」なのである。




たんまり、サボりました・・・・。


久しぶりに更新しようと思ったきっかけは、バスの中で見つけた自衛隊のパンフレットであった。


東日本大震災における、自衛隊の方々の献身的な活動には頭の下がる思いである。


しかし、このパンフレットはどうかと思う。


自衛官候補生のリクルートのためのパンフレットである。

全部で10コースあるらしい。


コースの説明文の一部を紹介すると、こんなんである。


看護学生

 慈愛に満ちた看護陸曹を養成。

 

 

防衛医科大学校学生

 陸海空の医師として、己に克ち、他に対するいたわりのある人徳の心を養成。



高等工科学校生徒

 中学を卒業した至誠に富む者たちを、技術力に富む陸曹に育てる3年間のコース。



一般曹候補生

 小部隊のリーダーおよび専門分野に精通した曹として期待される。

 自衛隊の精強性の柱。精進による幹部への道が開かれている。



自衛官候補生

 部隊の第一線で心と体と技を鍛える。

 志により、曹・幹部への道が開かれている。



「慈愛に満ちた」とか「人徳の心を養成」とか「至誠に富む者」とか「精強性の柱」とか「精進による幹部への道」とか「志により、曹・幹部への道」とか、平成23年の言い回しとは思えないような表現が随所に見られるのである。



確かに、看護師は慈愛に満ちた人たちであることが望ましいであろうし、医師は技術だけでなく、人間性も高めるべきなのであろうし、精進や志は必要なことである。


しかし・・・

精神論でおおかたのことを乗り切ろうとした戦前・戦中の「軍隊」の精神を彷彿とさせるものでもあり、自衛隊という組織の、我が国における「座りの悪さ」とも相俟って、何となく違和感がある・・・ような気がする。


このパンフレットで果たして効果的なリクルートができるものなのか、「人ごと」ながらかなり心配である。


もし、私が学校の教師であり、教え子が自衛官になりたいと言ったときに、このパンフレットを目にしたら、一度は「考え直すように」と言ってしまうかも知れない、と思う。