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俺が通されたのは、二階にある和室だった。部屋の入口の横には「桧の間」と書かれていた。入ってみると、広さは十二畳ほど。テレビに冷蔵庫にエアコンがついていて、床の間には花瓶と花が生けてあった。まぁ予想通りというか、良くもなく悪くもない、想像どおりの部屋だった。一人で使う分には、特に問題はないという程度だろう。

 

 

 

 

「ところで櫻井さま、お食事は何時ごろお持ちしますか?」

 

 

 

女将のメグさんがそう聞いてくる。

 

 

 

「うーん、そうですねぇ」

 

 

 

 

俺は考える。今の時刻は午後四時前。腹はすいていない。ここへ来る途中に高速のサービスエリアで愛知県産のひつまぶしを大盛りで食ってきたから、むしろ腹いっぱいだった。

 

 

 

 

「じゃあ、七時ごろでお願いできますか?」

 

 

 

 

「かしこまりました。なお、当館の露天風呂は夕方は六時から十一時まで。朝は六時から十時まで空いていますので、その時間にご利用ください。では、ごゆっくりおくつろぎくださいませ」

 

 

 

 

そういってメグさんはお辞儀をして部屋を出ていく。俺は荷物を置いて畳の上に寝転んだ。そしてなんとなくスマホを出してブログのコメントを確認。適当な返信をつけて、次に敬愛する名古屋の大先生のブログを拝見した。二日連続で、高知の無職ババアの閉経ブーツのことがいろいろと書いてある。なんでも、閉経ブーツは最初、新聞社に通報して大先生のブログを削除させてやったと息巻いていたらしいが、昨日の今日で、急に学会教宣(デマ)本部なる組織だと言い出したらしい。言ってることが二転三転、しかも学会教宣(デマ)本部だとかいう、実在するのかも怪しい組織を出してくるという、狂人らしい言動に出てきた。もうこいつは本当に学会員かどうかも疑わしい。どちらにしろ単なる基地害だなとしか思わない。こんなのの相手をする大先生も大変だなと思いながら、そっとブログを閉じた。

 

 

 

 

その後は携帯のゲームをしたり、テレビを見たり、家から持ってきた鬼滅の刃を読んだりしてなんとなく小一時間ほど時間を潰していたが、だんだんそれにも飽きて暇になってきた。夕飯までは後二時間ほど。やることがなくなって暇になった俺は、考えた末、ちょっと散歩に出てみることにした。夕飯までに、少しでも体を動かして腹を減らしておきたい。それに、この先しばらくここに泊まることになるから、付近に何があるのか自分の足で歩いて確かめてみたい。そう思い、俺はとりあえず携帯と財布だけ持って部屋を出た。