2025年6月11日、アメリカの5月消費者物価指数(CPI)が発表されました。
インフレ率は予想を下回っており、物価上昇は収束しつつある事が結果に出ています。
多くの経済学者が関税の影響から物価上昇を懸念していますが、データをみる限りその予想は外れていると言わざる得ません。
ところでなぜ多くの経済学者はこのように物価という経済の重要指標に対する認識を外すのでしょうか?
それは現在の経済学の主流派は古典経済学と呼ばれるかなり古い経済学を基本としているからです。
19世紀初頭のある有名な古典経済学者は「供給が需要を作る」と言いました。
財やサービスが生産されることで、それを売って得たお金が別の商品やサービスの購入に使われる。
つまり、生産があれば自動的に需要が生まれるという考え方です。
この考え方によると物価に与える影響は主に供給側にあると言えます。
この時代では、この考え方は正しかったのかもしれません。
しかし、物があふれた現代社会ではこの考えは間違っていると言わざる得ません。
「需要が供給を作る」が正しいと思います。
物価を決める主な要因は需要側、つまり財やサービスを買う側にあると思います。
ある商品を買おうと思った時、その価格に見合った商品であると買う側が認識して、自分の収入から考えて買う価値があると判断される事が物価を決める重要な要件だということです。
仮に良い商品であっても高すぎて買えない場合、その商品は売れません。
売れなければ価格を下げる以外方法はありません。
なので、物価を決める主な要因は需要側、つまり買う側にあると言えます。
供給側の事情はあくまでも付随的要因に過ぎず、価格を決定する主な要因ではないのです。
この附属的要因が関税です。
関税は供給側の事情によるものです。
関税が上がったから価格を上げないと利益が減る、と売る側は考えるかもしれません。
しかし、それは売る側の事情で買う側には関係のない事です。
買う側にお金がなければ買いたくても買えないからです。
売る側の事情で価格が上がっても買う側にそれに見合うだけの需要、つまりお金がなければ買わないか、もっと安い商品を買います。
商品の価格を決めるのは主に需要側、買う側にあるといえます。
では、買う側の需要を満たすにはどうするのか、、
それは買う人の給与が上がって、手にするお金が増えれば多少値上がりしたものも買う事が出来ます。
需要を上げるには政府支出を増やすか金利を下げて企業がお金を借りやすくする必要があります。
しかし、現在のアメリカは政府支出を削減しており、金利も高金利です。
とても需要が上がる状況とはいえません。
この状況ではインフレになる余地はないと言えます。
数年前、アメリカ政府は大規模な財政出動をしてアメリカはインフレになりました。
※アメリカがインフレになった原因は下記記事を参照
アメリカがインフレになった原因をサラッと解説してみた! | 時間が無い人でもサクッとわかる現代社会の仕組み
インフレになった原因からもわかるとおり、物価は主に需要側の要因で決まるという事です。
経済学は、純粋な学問とはいえず、宗教や占い、祈祷(きとう)などと同じようにかなり情緒的要因が含まれています。
昔は何かあった時、僧侶や祈祷師におはらいや、おまじないをしてもらって健康や幸福を祈っていました。
迷信深かった昔の人々は、今では子供でも信じない事をホントに信じていました。
それと同じように、著名な経済学者が言っているのだから信じてしまう、というようなものが経済学と言えるのかもしれません。