9月21日に9月のFOMC(連邦公開市場委員会)が発表されました。

 

FOMCとは、アメリカ合衆国の金融政策の一つである公開市場操作(政策金利や国債買いオペなどを通じて金融機関の資金需給を調節すること)の方針を決定する委員会のことです。

 

政策金利は大方の予想通り据え置きで、5.25%~5.5%となりました。

 

しかし、重要なのはFRBが今後のアメリカ経済の見通しをどのように見ているのかです。

主に今後の政策金利(FFレート)・インフレ率(PCEコア)・失業率・実質GDP成長率・実質金利をどのように考えているのかをしっかり読み解かなければなりません。

 

以下に今後の経済見通しの一覧をまとめてみました。

 

 

 

 

 

今回発表された経済見通しは赤で塗られた部分です。

政策金利は年内あと1回利上げの余地を残して、5.6%まで上げる見通しを示しました。

 

そして来年の2025年は5.1%まで利下げすると示しました。

実質金利は2.5%となり、来年はかなり高い水準となります。

 

市場はもっと早い大幅な利下げを予想していたので、この部分がサプライズとなってアメリカ株の下げをまねいているわけです。

 

実際に実質金利2.5%はオーバーキルと考えられ、金融引き締めすぎで景気後退を招くのではないかとの懸念が出ています。

 

しかし、FRBは底堅い労働市場を想定しており景気後退なく目標のインフレ率2%まで引き下げられると考えているようです。

 

このFRBの経済見通しでは2025年頃からインフレ率は落ち着きだし実質金利は1.8%に引き下げられると考えており、2026年になると目標のインフレ率2%となるのでほぼ正常化するというシナリオを描いております。

 

この通りにいけばリセッションなくインフレ率を抑えてアメリカ経済を正常な成長路線に戻せると思いますが、しかしこれはあくまでも予測です。

 

この通りにいく保障はどこにもありません。

 

実際に過去FRBは経済見通しを何度も修正しています。

以前の経済見通しを見てみるとそれは明らかです。

 

2022年9月の時点で出した2023年の予想FFレートは4.6%ですが、実際は5.4%です。

FRBは当初の予想以上に利上げしたということです。

 

またインフレ率は3.1%と予想しましたが、実際は4.2%です。

 

なので来年の経済見通しも必ずあたるとは考えていない人達が多いようです。

実際にはインフレ率は予想より早く低下していくデータが出ています。

 

特に家賃など不動産関連の価格下落の影響で予想以上にインフレ率が低下する可能性があるという専門家もいます。

 

もし想定よりも早くインフレ率が低下すると見通し通りに利上げする必要がなくなりもっと早く利下げするかもしれません。

そうなると来年の実質金利はそれほど高くならない可能性もあります。

 

しかし、いずれにしてもFRBはインフレ率を抑える事を最優先事項としている事が今回のFOMCから見て取れます。

 

FRBは以前から、

「全ては今後のデータ次第」

と言っているので、

今後のインフレ率によって、FFレートなどは修正される可能性があるのを考えておかなくてはなりません。