前回のブログではお金が借金から生まれるということをデータを示してご説明しました。

つまり、借金をする経済主体があってはじめて資金余剰(貯蓄)が生まれるのです。

 

2000年に入ってからの日本は主に日本政府が借金主体となって資金を生み出していたわけです。

それでは2000年以前はどうだったのでしょうか?

 

特に1990年以前のバブル崩壊以前はどうであったのか気になる所です。

以下が、1980年から2003年までの日本経済のお金の流れを示した資料です。

 

 

日本銀行の同じデータを年度をさかのぼって見てみると、1980年代は主に「民間非金融法人企業」が借金をしている事がわかります。

 

つまり民間企業が借金をする事によって家計の貯蓄を押し上げている事になります。

1980年以前のデータは見つからなかったのですが、1980年以前もこの傾向は変わっていないと考えられます。

なぜなら、日本政府の赤字国債の発行は1975年から始まっているからです。

 

 

戦後の日本は焼け野原から始まっています。

何も無い所から始まっているので、商品やサービスは、作れば売れたのです。

 

戦後の経営者は皆、率先して借金をして事業拡大をしました。

借金で資金調達をして、その資金で大規模な設備投資をしました。

 

その結果、会社の売上を伸ばすことができました。

そして従業員の給与は増え、国民は豊かになっていきました。

物価とGDPもそれに伴って上がっていったのです。

 

下記の経済成長率のデータがそれを示しています。

 

 

1990年以前と以後で成長率に大きな違いがあることがよくわかります。

 

民間銀行は戦後の日本経済の成長性を確信していたので、積極的に民間企業に融資しました。

戦後から1975年までは日本政府は赤字国債を発行していません。

 

政府支出に頼らなくても民間主導の貨幣供給で十分経済発展が可能だったのです。

しかし、1990年以後、不良債権問題が取り沙汰され、民間銀行は以前ほど積極的に融資する事が出来なくなりました。

 

民間企業の方も以前ほどの経済成長を期待出来なくなり、あまり借金しなくなりました。

つまり借金主体が1990年頃を境に民間企業から日本政府に変わっていったわけです。

 

因みに、戦後の日本の実質GDPの推移を示したデータが下記です。

 

 

 

1990年までは右肩上がりにGDPが上がっているのがわかります。

これだけ成長性があれば民間銀行も融資に積極的になるのは納得出来ます。

 

 

これまで見てきたように、お金とは借金する事によって生まれ、そして1990年以前は民間企業が、それ以後は日本政府が借金をして貨幣供給をしていたことがわかります。

 

そしてどの時代を通していえる事は、借金をする経済主体がなければ家計(国民)の所得は増えないということです。

もし家計の貯蓄を増やそうとしたら、どの経済主体がどの位借金をする必要があるのかをしっかり分析していくことが重要なのです。