世の中には沢山の経済学者がいますが、それぞれの学者によって経済に対する主張が異なっている事はよくあります。

 

積極財政派・緊縮財政派・増税派・金融引き締め論者・財政破綻論者・MMT推進派・民営化推進派など・・・

 

なぜ、同じ経済学者でもこんなに見解が異なるのでしょうか?

 

それは、それぞれの経済学者達は、自分を支援してくれる団体の利益を目的に経済政策を語るからです。

 

つまり自分達を抱え込んでいる組織の為になるような経済政策を語るのです。

 

 

わかりやすいのは、財務省お抱えの経済学者です。

 

財務省は増税や緊縮財政を推進したいと思っています。

 

なので、財務省お抱えの経済学者はその目的の為に経済理論を語ります。

 

例えば、

 

「国の借金が1000兆円を超えているので、このままいくと日本は財政破綻する。だから消費税を増税して財政健全化しなければならない。」

 

と言って、国民に増税の必要性を説きます。

 

東京大学経済学部卒の肩書きを持つ経済学者がこのように言えば、国民は納得して増税しやすくなります。

 

その主張が正しいかどうかが重要でなく、目的を達成する為に、このようなロジックを作り出すのです。

 

毎年のように財政破綻論の本を出して国民を洗脳していくわけです。

 

なぜ財政破綻するかの理由の部分は毎年変えて本を出しますが、結論は「国の財政は破綻の危険がある。だから増税が必要だ。」

 

というところに持っていくわけです。

 

しかし、実際は国の財政赤字は特に大きな問題ではありません。

むしろ国の経済を成長させるには政府支出を増やさなければいけません。

 

これは今や世界の経済理論の常識となっています。

アメリカやヨーロッパは財政赤字をそれほど気にせず、政府支出を増やして経済成長を目指しています。

 

財政破綻論者は、その主張が正しいかどうかが重要でなく、財務省の目的を達成する為にこういう事を言うのです。

 

 

一時期流行った民営化推進論者は外国人資本家の利益を考えて語っていると言えます。

 

会社が民営化されれば、主に得するのは株主です。

そしてお金を沢山持っている大資本家は沢山投資出来るので、民営化された会社を事実上支配出来ます。

 

得するのはこのような大資本家で、会社で働く従業員にはほとんど還元されません。

むしろ、給与が減らされて損する可能性の方が大きいでしょう。

 

郵政事業や水道事業などは、既に民営化されていますが、最近は医療分野の規制緩和を訴える経済学者が増えています。

 

日本の医療は国民皆保険制度なので、皆が等しく医療を受ける事が出来ます。

所得に関係なく医療保険の対象になっている標準治療を同じ医療費で受ける事が出来ます。

 

しかし、医療保険制度の規制を緩和して民間の医療保険会社の参入の幅を増やそうと考えている人達がいます。

 

アメリカのように公的な医療保険がなくなり、民間の医療保険会社だけになれば、外国の医療保険会社は日本でも大きな利益を上げる事が出来ます。

 

目的はそこにあります。

 

なので

 

「医療保険を民間に任せれば、事業が効率化されて国民の社会保険料の負担は減る」

 

などと言って、規制緩和しようとします。

 

国民にこのような意識を刷り込ませて、そのうち政治家で医療保険民営化論者などが出てきます。

 

そして、それを選挙の争点にして選挙で勝つことが出来ればそのまま医療保険が完全民営化されてしまうかもしれません。

 

しかし、医療保険が民営化されてしまったら、何が公的医療保険の対象になっている安全な標準治療なのかわからなくなります。

 

患者側は判断基準がなくなるので、病院は一生懸命宣伝して患者を呼び込もうとします。

 

つまり医療が自由競争となってしまうのです。

資本力のない病院は淘汰されていきます。

 

安全性や医療技術より、商売上手な病院が生き残りやすい環境になってきます。

 

その結果、インチキ医療を掲げる病院が生き残り、医療が完全に商売の道具となってしまう可能性があります。

 

安全な医療という最も基本的な部分がないがしろにされ、医療が金儲けの道具となってしまう事が本当に国民の利益となるかは疑問があります。

 

 

証券会社お抱えの経済学者は主に株などの金融商品を買わせる為に経済理論を語ります。

 

「これからはトルコ経済が発展するのでトルコの会社に投資すれば儲かりますよ」

 

などと言ってトルコ株に投資させようとします。

トルコがほんとに発展するかどうかはわかりません。

 

仮に投資して損失が出ても、投資は自己責任が大前提です。

勧めた人には責任はありません。

 

証券会社は手数料で稼ぐ事が出来るので、それで目的は達成する事が出来ます。

 

そもそも自分がよく知らない国の株に投資する事は止めた方がよいと思います。

特に途上国の経済は政治的な影響を受けやすいので、この先どうなるかはわかりません。

 

経済的な側面だけでは説明出来ないのが途上国の経済の体質なので、こういった話しは真に受けない方がよいでしょう。

 

1998年頃、アジア通貨危機がありました。

これも、意図的にアジアの通貨を買わせて儲けようとしていた勢力がいたのが実態です。

 

「これからはアジアの経済が発展するのでアジア各国の通貨を買っておいた方がよい」

 

などといって、通貨を買わせます。

実際にある時期まではアジア各国の通貨は上昇しました。

 

しかし、ある時期を境に暴落していきました。

 

この時、意図的にアジア各国の通貨を大量に売りに走った勢力がいました。

アジア各国の通貨が高値を付けた時点で大量に売り抜けて大儲けしたわけです。

 

その結果、アジア各国の通貨が暴落してアジア通貨危機が起こってしまいました。

 

 

このように経済学者は意図をもって主張する事が多いです。

必ずしも国民の事を考えているわけではないのです。

 

だから個々によって主張が異なってくるのです。

 

経済学者の多くは、自分の利益団体の為に経済政策を主張しています。

 

これに対抗するには自分自身が経済に対する理解をしっかり持って、情報分析する事が重要です。

 

また有効な経済理論は時代によって変わってきます。

 

その時代おいて何が有効な経済理論なのかをしっかり把握しておく事が大事でしょう。

 

特にマクロ経済学の基本や金融・財政理論の基本的な事が理解出来てないとコロッと欺されてしまいますので気を付けましょう。

 

 

※参考文献