現在の国家のあり方として最も一般的とされているのが、民主主義国家です。

 

国民の選挙で国の代表を決める方法です。

国会議員や首相、大統領など、行政や立法に関わる重要な権限を持つ人達は選挙によって選ばれます。

 

日本も第二次世界大戦の敗戦後、日本国憲法の元、民主国家として発展してきました。

民主国家になれば、国民の権利は守られ、その国に暮らす人達には良いもののように思われます。

 

実際、基本的人権や法の下の平等、参政権、思想言論の自由など、様々な権利が保障され、それ自体は良いことだと思います。

 

しかし、単純に国家が民主化されればそれだけで国がよくなるとは限りません。

というより、国民にとって本当に幸せな生活が保障されているとは言えないのです。

 

 

なぜかというと、国家が民主化されれば国民は自由に生活する事が出来るわけですが、この自由には表裏一体の側面があるのは否定出来ないからです。

 

まず国を民主化するという事は

 

「自由に自分のやりたいビジネスが出来る」

 

と言うことです。

 

これは一見すると良いことのように思えます。

しかしそれは、国民が自由に自分のお金を投資してビジネスが出来る事でもあります。

 

民主化には当然、このような資本の自由化も伴うのです。

つまり民主主義と資本主義はセットなのです。

 

お金を沢山持っている人はより有利にビジネスをする事が出来るので商売で成功する確率が高くなり、それが貧富の格差へと繋がってしまいます。

 

そして儲けたお金を使って様々な事業にお金を投資してより沢山利益を上げることが出来ます。

 

そのような人達は財閥という組織を作って、1つのグループ会社を形成して生産から販売までを自分のグループ内で行い、産業自体を独占的に支配する事も可能になります。

 

産業の発展や効率の為には、ある程度自由に商売が出来る環境が必要なのでこのように独占的な状態が生まれやすくなります。

 

なので、この不平等を解消する為に様々な規制を作って、より公平に商売が出来るように法整備をする必要があります。

主な例でいうと独占禁止法などを作って公平な競争が行われるようにします。

 

 

また、規制の少ないビジネスは参入業者が増えるので、より競争が激しくなり、過当競争になりやすいです。

 

結果として、各社は安値競争に走り商品の価格が下落してほとんど儲からなくなります。

そうなると産業自体の発展にも悪影響が出ます。

 

このような状況にならないよう、ある程度の規制を作り、その中で公平にビジネスが出来るようにする事が重要です。

いずれにしても

 

「資本」

 

つまりお金を沢山持っている人が有利な社会が、資本主義であり民主主義なのです。

 

 

ここまでは国内だけの資本についての話しなので、適切な規制をかけつつ適度に競争していけば問題ないじゃないか、、と思う人は多いと思います。

 

しかし、資本とは海外からの資本も含まれます。

もちろん外資規制があるので、外国人が日本に投資するには一定の条件があります。

 

例えば外国人は一定数以上の株を持ってはいけないとか、、特定の重要な職に就けないとか、、

 

しかし、日本人であれば、そのような規制はないので、そこを国際金融資本家は利用します。

 

日本人の中で、自分達に忠実に従ってくれる日本人を見つけて、徹底的に支援します。

 

国際金融資本家の代理人のような形で信任を与えて日本でビジネスを行わせるのです。

 

アメリカやヨーロッパの金融を支配している国際金融資本家は、各国に代理人を作って、その人達に資金援助してビジネスを展開するのです。

 

日本の場合、明治の頃、多くの会社が設立されましたが、それら多くの会社に事実上外資が入っていたと考えられます。

 

つまり、実際に会社を作っている人は日本人なんですが、その日本人に資金援助している勢力がいるわけです。

 

かれらの資金援助を受けた日本人は、いわば日本におけるかれらの代理人のような形でビジネス活動します。

そして、そのビジネスで儲けた利益を国際金融資本家に還元します。

 

結果としてその国の産業を国際金融資本家が支配する事が出来ます。

特に日本の財閥系の多くは、この流れをくんでいるので、その利害関係は代々受け継がれていきます。

 

有名財閥のご子息がもし国際金融資本家の利益を損ねるような事をしたら、その財閥は後で大きなしっぺ返しを受けるかもしれません。

 

日本国内では無敵の財閥でも、海外の国際金融資本家勢力には全く歯が立ちません。

かれらが本気になったら財閥の1つや2つ潰すのは簡単な事です。

 

そして日本国内に国際金融資本家から資金援助を受けた巨大な民間資本が誕生すれば、国家に対しても強い影響力を行使できるようになります。

 

実際にヨーロッパやアメリカは、かれらからの支援によって出来た巨大な民間資本によって支配されてきました。

 

それが19世紀、20世紀なわけです。

 

ビジネスは常にこのような利権の上に成り立っているので、日本だけを見ていては、本当の資本主義がわからないと思います。

 

 

このような事は世界中どこでも行われています。

特に天然資源が豊富な国はターゲットにされやすいです。

 

石油や天然ガス、鉱物資源(金・銀・ダイヤモンド)などの事業は流通ルートさえ確保できればそれほど難しいビジネスではありません。

 

特別高い技術が必要というわけではないので大資本家にとって旨みのあるビジネスといえます。

 

なので、天然資源が豊富な国・地域は大資本家が進出して現地で会社を作り(もちろん現地の代理人を使って)ビジネスをやる例が多いです。

 

 

民主化には、このように資本の自由化(資本主義)も含まれるので、国際金融資本家はしきりに国家の民主化を要求します。

 

独裁的な政治構造の国には民主化デモを支援して、既存の国家権力を潰して新しい政府を樹立するのに協力します。

 

しかし、民主化してその国に住む国民が豊かになればよいのですが、海外の資本家が資金を出して、儲けが自分達だけにしか入らない仕組みを作ってしまっては、たとえ民主化しても現地の人達が豊かになれるとは限りません。

 

その意味では国家を民主化する事は、本当の民主主義国家になるまでの過渡期と言えます。

 

今の世界で本当の民主主義国家は1つもないのではないかと思う時があります。

ヨーロッパやアメリカでさえ、国際金融資本家に支配されています。

 

これら先進国でさえ、経済的格差はますます広がっています。

 

真の民主主義国家とは、その国に住む国民が豊かになれるような国になって、初めておとずれるのではないかと思います。

 

自由化・民営化と言われると聞こえは良いのですが、これは外国資本を受け入れやすい状況を作る事になります。

 

外国資本の全てが悪いとは言いません。

会社で働く従業員の雇用を守り、安定した生活を作り国民生活を豊かにしてくれるのであれば問題ないわけです。

 

しかし、国民をただ搾取するだけの資本家は、かつての植民地支配とあまり変わりません。

 

儲け主義がいきすぎると全ての富が資本家に集中して庶民はただ搾取されるだけになってしまいます。

 

だから一定の規制が必要になってくるわけです。

 

国営企業というのも1つの規制の形です。

企業を国有化する事で雇用が守られ、従業員の生活が保障されます。

 

また、道路や病院、学校、電気、ガス、水道など生活に必要なインフラを整備するのも国の役目です。

これらも一定の規制の下、ビジネスが行われなければなりません。

 

つまりある程度の規制がないと産業が育たない上に、その育った産業を守る事が出来ないのです。

 

そしてそこで働く従業員の雇用の安定を守る事が出来なくなります。

 

民営化すれば、事業が効率化されてなにもかもよくなる、と思っている人は今でも多いのではないでしょうか?

 

しかし、事業が効率化されればその分仕事が減り、そして給料も減る可能性があるわけで、個人にとって必ずしも良い面ばかりではありません。

 

 

反対に国営企業ばかり増えたら、国全体の生産性が低下する恐れがあります。

非効率な事業や採算の合わない事業が増えてくる可能性もあります。

 

そして、計画経済の浸透は社会主義的側面があり、最終的に国家自体が計画的に運営されるようになると共産主義国家の誕生です。

 

中国は近年、経済成長著しく、GDPは世界第二位になりました。

しかし、人口の6割ほどは未だに貧困層です。

 

つまり超格差社会なのです。

 

社会主義的側面がいきすぎるのも国民の為にならないのです。

 

ようはバランスの問題です。

 

競争がいきすぎても、計画経済がいきすぎても、最終的には国民の利益にならないわけです。

 

このあたりのバランス感覚を国民1人1人が自覚出来るようになれば、真の民主主義国家になれるのではないかと思います。