今回は、不当解雇(リストラ)について判断している裁判例を紹介します(つづき)。 
(4)請求及び当事者の主張の骨子
ア 制裁解雇事由の有無(争点〔1〕)について
 被控訴人は、「ウチクルス」(沖縄方言で「懲らしめる」の意)と発言したにとどまり「殺す」とは発言していない、同僚や上司に対する攻撃的な態度を執っていないと主張する。控訴人は、本件制裁解雇に係る制裁解雇事由として、本件解雇予告通知書に記載されている本件発言及び上記態度のほか、被控訴人の勤務状況等が極めて悪く、被控訴人が職場の秩序を乱し、他の従業員に恐怖や不安を与えたとの事実を主張するところ、被控訴人はそれらの事実も存在しないと主張する。
イ 解雇権濫用の成否(争点〔2〕)について
 また、被控訴人は、本件制裁解雇はR2らによる被控訴人に対するパワーハラスメントの一環としてされたものであるなどとして、解雇権の濫用に該当すると主張する。
ウ 請求
 被控訴人は、上記の理由により本件制裁解雇が無効であるとして、控訴人に対し雇用契約上の地位にあることの確認を求めるほか、未払賃金等の支払を求めている。
2 原判決
(1)制裁解雇事由の有無(争点〔1〕)について
ア 原審は、諸機関労務協約において「秩序を乱す行為」「重」につき「争闘、脅迫もしくは他人に対する傷害、権限ある者に対する肉体的抵抗、士気、業務もしくは規律の保持に悪影響をあたえる粗野な言動またはみだらなもしくは不道徳な行為」と説明されているところ、これを例示と解したとしても、これと同程度の行為でなければ制裁解雇の根拠とすることができないとした。
イ 原審は、被控訴人が「殺す」又は「ウチクルス」のどちらの発言をしたのかは必ずしも判然としないものの、海兵隊がQ2の生命・身体を保護する措置を執った形跡がないことを踏まえると、その発言が現にQ2を殺害するなどの物理的攻撃に及ぶことを高い蓋然性で予見させるようなものであったとは認めるに足りず、本件制裁解雇を基礎付ける事由たり得ないとした。
ウ また、原審は、控訴人が制裁解雇事由として主張するその余の事実(被控訴人の勤務状況等が極めて悪く、被控訴人が職場の秩序を乱し、他の従業員に恐怖や不安を与えたとの事実)については、本件制裁解雇を基礎付けるほどの重大な事実は認めるに足りないとした。
(2)解雇権濫用の成否(争点〔2〕)について
 原審は、仮に制裁解雇事由が認められるとしても、被控訴人の本件発言の内容その他の事情にかんがみ、本件制裁解雇は重きに失し、解雇権の濫用に該当するとした。
(3)結論
 原審は、被控訴人が控訴人に対し雇用契約上の地位にあることを確認するとともに(主文1項)、平成20年1月から本判決確定の日まで毎月10日限り月額賃金29万7590円(基本給26万0900円+格差給2万6090円+扶養手当6500円+通勤手当4100円。毎月末日締翌月10日支払)、毎年6月5日限り夏季手当56万8225円(基本給と扶養手当の合計額の212.5%)、毎年12月5日限り年末手当62万1705円(基本給と扶養手当の合計額の232.5%)の支払を求める限度で請求を認容した(主文2項)。
なお、不当解雇(リストラ)についてお困りの方は、専門家に相談すべきですので、不当解雇(リストラ)について弁護士に相談 してください。また、企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士費用 やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉刑事事件借金の返済敷金返却や原状回復(事務所、オフィス、店舗)遺言や相続 などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。