今回は、残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 
4 慰謝料の支払義務の有無について
(一)原告の主張
 被告の原告に対する賃金の支払が遅延したため生活が苦しくなり、また、平成九年一二月ころからローンの返済を督促されるようになったため、妻が子供を連れて実家に帰ってしまい、平成一〇年二月九日には妻と離婚した。これはすべて被告の原告に対する賃金の支払が遅延したためであり、右の慰謝料として金二四〇万円の支払を求める。
(二)被告の主張
 賃金の支払の遅延は単なる債務不履行であり、それによって当然に不法行為が成立するわけではない。賃金の支払の遅延と原告の離婚との間には因果関係はない。
第三 当裁判所の判断
一 争点1(賃金及び残業代の未払の有無)について
1 次に掲げる争いのない事実、証拠(〈証拠略〉、〈人証略〉(以下「O」という。)、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
(一)原告は被告の求人広告を見てこれに応募したが、その求人広告には、固定給として月給金四〇万円を支払うこと、勤務時間は午後五時から翌日の午前二時までであること、休憩は一時間で実労働時間は八時間であることなどが書かれていたが、残業の有無については特に記載はなかった(原告本人)。
(二)原告は、被告の採用面接の際に面接の担当者から、原告はウエイターとして被告の経営に係る店舗で勤務すること,原告の賃金は固定給として月給金四〇万円であること、昇格することによって賃金が引上げられていくこと、賃金の支払は二〇日締めの月末払いであること、休日は週一回であること、店舗の営業時間は午前二時までであり、営業終了後に後片づけをすることなどの説明を受けたが、面接の担当者から営業時間の終了後の後片付けについて残業代を支払うという説明はなく、また、原告も面接の担当者による説明に対し更に説明を求めたり異議を述べたりすることはなかった(原告本人)。
(三)原告が勤務を始めた平成九年八月三〇日から原告が勤務していた店舗で勤務を開始したOも、原告が見たのと同じ内容の募集広告を見て被告の採用面接を受け、被告の採用面接の際に原告が受けたのと同様の説明を受けたが、Oは採用面接の際に一か月の賃金が金四〇万円であるという説明を受けてウエイターの仕事にしては賃金が高いと思った(〈人証略〉)。 
(四)被告の賃金台帳によれば、原告の九月分の賃金は金三〇万四〇〇〇円(ただし、所得税などの控除前の金額)、平成九年九月二一日から同年一〇月二〇日までの賃金(以下「一〇月分の賃金」という。)及び一一月分の賃金はいずれも金四一万円(ただし、所得税などの控除前の金額)、一二月分の賃金は金一一万四八〇〇円(ただし、所得税などの控除前の金額)であり、これらの賃金はいずれも基本給とされており、右の各金額から所得税などを控除した後の原告の賃金は九月分が金二八万五七二四円、一〇月及び一一月分が各金三六万〇八六〇円、一二月分が金八万八九九一円である(〈証拠略〉)。一〇月分の賃金から原告の基本給が金一万円引き上げられたのは原告がウエイターからサブマネージャーに昇格したためである(弁論の全趣旨)。原告が被告に出勤した日数は、同年八月三〇日から同年九月二〇日までが一九日、同月二一日から同年一〇月二〇日までが二五日、同月二一日から同年一一月二〇日までが二七日、同月二一日から同月二七日までが七日である(〈証拠略〉)。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。