東京創元社トークショー@新宿紀伊國屋本店8階 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

さゆみんバースデーツアーの記事が続くなかですが、今日は本業に戻ります。

東京創元社60周年イベントシリーズ
「北村薫×北上次郎×戸川安宣 わたしと東京創元社」トークショーを観覧してきました。

関係各所に多大なるご迷惑を掛けつつ終業ダッシュで新宿紀伊國屋本店(新宿三丁目の昔から在る方)へ。
レポートは、また書き起こしが東京創元社さんホームページに上がるかと思いますので、
自分的なツボだけ。


創元推理文庫の奥付の日にちは、必ず金曜日。
 毎週金曜日に1冊発刊していた時代の名残りとのこと。初っ端から会場騒然。
 
 ちなみに手元の本で確認すると確かに!
 「水晶の栓」 1965年9月3日   ←金曜日
 「月光ゲーム」1994年7月15日 ←金曜日 
 「女郎蜘蛛」 2014年5月23日 ←金曜日

 「物語の迷宮」1996年8月30日 ←金曜日
      三版2013年1月18日 ←金曜日
  創元ライブラリも同じく金曜日発刊で揃っているようです。   


■昔は、一般的に文庫=古典だったが、それを角川あたりから革新した

日本探偵小説全集(例のアンティーク人形の背表紙の文庫)は戸川氏から声を掛けられ、北村薫も編集に携わっていた

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「 いや、だって浜尾四郎と小栗虫太郎は低学年には怖すぎた 」

http://ameblo.jp/grayground/entry-11808196583.html


「貼雑年譜」完全復刻版が当初100部しか売れていなかった。
 のに、テレビで紹介されたら1日で残りの100部も完売した。

もうこれは驚き。
あと3割くらいはあれっすよ、住大夫師が引退するってなった途端、大阪文楽劇場のチケットが瞬殺したのを知ったときと同じような感覚。
当時学生で30万の高価に諦めた身としては、後半100部の購買者が羨ましくてならない。
あれは文庫のチラシで見て、お祭り気分だったからなぁ。自分が買えるかどうかじゃなくて、そういう本がもうすぐ世の中に生み出されるという高揚でした。

(でも90年代頭に出そうとしたときも予約が集まらなくて企画が没ったらしい)


こがねむし派 vs おうごんちゅう派
 言わずと知れた古典、エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」のこと。
 北村薫は創元翻訳のこがねむし派。(多分原理主義者(笑))
 自分は最初に読んだテキストが何か忘れてしまったが、おうごんちゅう派だったので、北村氏が最初何を話されてるのか理解出来なかった。
赤いスカーフ派vs赤いマフラー派の戦いも、何処かで繰り広げられているのかもしれない。


■北村薫のフレドリック・ブラウン作品の語りについて記憶力に驚く北上氏

しかしそういう北上氏も「グレイベアド 子供のいない惑星」について素晴らしい記憶力で語る
 
なんだろう「ユートピア」の逆行版と仰っていたのに、硲の頭に浮かんだのは「瓶詰の恋」でした。生命力溢れすぎやねん。

さらに「フィーヴァー・ドリーム」について熱弁を揮う北上氏
 なんでこっちを先に紹介しないのかと(笑)!
 時間があるのでもう1冊、のノリではなかったですよ。むしろこっちが大本命くらいの。
 吸血鬼と人間の友情物語だそうです。まったく硲の琴線には触れなかったのですがw、北上氏の説明の熱の入り方からするに絶対に面白いと思います。
気になったかたは読んでみてください。絶賛絶版中。


こんなところでしょうか。
今回は4月(有栖川、似鳥回)と違い、最前席にてミステリ話を聴きながらT川編集長・現顧問(?)をガン見、もとい真剣に聴講してきました。(←タイトルに入っているので名前を伏せる必要はないw)
うん、4月と違うのは席の場所だけで基本姿勢は変わっていませんでした。
もう一生、生トークショーやサイン会には行かないと言った舌の根も乾かぬうちに来たのは、ひとえに戸川氏が表に出るのを知ったからです。
どちらかというと戸川氏のサインも欲しかったです。

レジュメに載ってなかったものも含めて、話に上がった本はすべて読みたくなるという、そんなトークショーでした。お三方の連携プレーが綺麗に決まってました。
できればレジュメのオススメ本については、ひとことずつ言及していただけたらもっと嬉しかったかな。
「プリンス・ザレスキーの事件簿」とか、自分も好きな本が入っているとめちゃくちゃ気になるじゃないですか。


■今日の購入本
また例によって東創の北村著書は全て持っていたため

「いとま申して 『童話』の人びと」/文春文庫。
「元気でいてよ、R2-D2。」/集英社文庫。

トークショー内で戸川氏のオススメ1、2だった
「怪奇小説傑作集」4 フランス編/澁澤龍彦編/創元推理文庫。
 
「物語の迷宮 ミステリーの詩学」/山路龍天、松島征、原田邦夫/創元ライブラリ。

帰りがけに下のフロアで
「つばさサイズ」/つば九郎/ベースボールマガジン社。
「菩提樹の蔭」/中勘助/岩波文庫。
「水晶の栓」/モーリス・ルブラン/創元推理文庫。


すぐ本が読みたかったのでバルで肉コースの予定は諦め、紀伊國屋B1のカレー屋に入りました。
カレー屋はカレー屋でもお洒落な店になっていましたね。いつ頃変わったんですかね。
”取り敢えずビール“のノリで、"取り敢えずカリントン゛。「怪奇小説傑作集」の最後に収録されている、6ページなのに凄い掌編。あばばばば。面白い。