おまえは誰だ? | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


今日の1冊。
「赤い夢の迷宮」/勇嶺 薫/講談社文庫。


講談社青い鳥文庫に端を発した夢水清志郎やら虹北恭介が有名な、はやみねかおる。今回はジュブナイル作品ではないことを明確にするための漢字ペンネームを使用。

確かに、これは子供が読んだら未来に希望が持てなくなる可能性もあるね。
描写があっさりめで誤魔化されているが結構グロ度は高い。



<あらすじ>
殺人鬼のいる町と言われ、不審死や失踪の極端に多い新開発区で育った7人の子供達。
25年の時が過ぎ、三十路半ばになった彼等の元に同窓会の招待状が届く。

大人から怪しいと言われ続けていたOG、
ガキ大将のゴッチ、
ひょろくて大人しいユーレイ、
小柄で好奇心旺盛なウガッコ、
ミステリアスで博学な魔女、
女の子らしいココア、
可愛らしく目端のきくCちゃん。

日取りは夏休み初日。
所は『お化け屋敷』。

おりしも台風の到来する中、主人公たちの運命も嵐の真っ只中に放り出された。




<感想>
テンポ良く、驚く程さくさく読めた。
さりげグロ、それから子供たちの描写は流石やね。ゴッチの子供の辺りはちょっと涙が出そうになった。
ラストより中盤の展開が面白かったな。パタパタとどんでん返しが続く。力業使ったなぁ。ここまでメチャクチャな展開は久しぶりに読んだ。(←まったく破綻はしてません)


残念だったのは、トリックからの驚きが無かったこと。
本文伏線から簡単に読み取れるので、トリックが本題でないことは確かなんですが、もう一捻り欲しかった。
自分は歌野晶午の某短編を既読だったため、あれに似てるなぁと序盤で思ってしまって終了。あれも塀を越えるんだよね。


ラストは魔女の台詞からなんだろうけれど、今ひとつ。
せっかくの題材なので、本体以外の細部も雰囲気出して欲しかったな。