ばっちゃんの血にかけて! | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


昨日の1冊。
「文楽 人形の魅力」朝日カルチャーブックス/吉田 玉五郎,田結荘 哲治/大阪書籍。


御霊座も知る、明治生まれの人形遣い・玉五郎氏の芸談聞書。

昭和天皇の天覧公演、晩年の目が不自由になってからの舞台など、貴重なエピソードも。
なんで光の有無しか判らない状態のひとが30センチの高下駄履いて、狭くない舞台の端から端まで使って、人形に素晴らしい演技させられるのさ。ミラコー!

写真も沢山収録されているので、若いころから往年まで垣間見ることはできるのだが、あの老婆役見たいー!!

文楽では往々にして老婆が中心的な役割を果たしている、と思う。
本文で例に出されている狂言回しになっていることもあるし、敵対する黒幕的な役だったり、時には立ち回りを見せたり。
武家の妻女でも村の老人でも、嘆き、それから強さは共通して、深い印象を受ける。
ともすると主人公格の役を食ってる場合もあるような。


この本では
本人の芸と同じくらい、その師匠や同僚(この場合は文五郎、紋十郎や栄三)の芸に向かう姿勢も語られる。こういう本大好き。