昨日の癒された1冊。
「スペイン夏物語―わが田舎の家族」
/モレノ路子/河出書房新社。
国際結婚をした著者がえがく、スペインのひと夏の風景。
外国の夫の実家に旅行と意気込んでみれば、
飛行機を乗継ぎ30時間もかけて着いたのは、禿げ山に山羊がのんびりしている田舎町。
しかし
ここで知るのは厳しくも本当の自然に育てられたリンゴの味や
家族で作る解体作業から始まる鳥鍋。
町中が一丸となる伝統的な祭り。
沢山の兄弟や、その子供たち、
アブエロ(おじいさん)とアブエラ(おばあさん)の父母夫婦がいいんだ。補い合ってきたんだろうな。
自然を敬い、その中で生きていく美しさ。
家族の連帯や激しい情のやりとりが羨ましい。
実際の時間は1970年代のようで、その頃は苦労もあっただろうに
まるで夢のような人びとの交歓や、煌めく夏の陽差しが
読む身にも思い出として残された。