狐づいている | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


先月が猫だったなら、今月は狐なのだろうか。
記事はまたまたリアルタイムで上げそびれてたものです。



「コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状」/村山早紀/ピュアフル文庫。

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赤い鳥居の近くにある稲穂マークのコンビニたそがれ堂。
今度は文庫書き下ろしです。

話の傾向は前巻と同じ。
黄昏時にふらりと入ったコンビニで、手に入らないはずの大切なものが見つかる。基調『いい話』。
ただ、『今回は亡くした人と再会する』が一貫テーマらしく、重い前提の話が続きました。
文体は軽やかで、最後はハッピーエンドですので、そんなに気にしなくてもいい範囲ですが、連続しますので苦手なかたは加減しつつ読まれたほうがいいような。


<収録作>
●「雪うさぎの旅」
10歳の少女と、山にいる雪うさぎ&雪だるま2体が主人公。
童話です。誰もが自分の人生の主人公であると強く主張。
後半は涙が出てきそうになりました。特に雪だるま次男の台詞がね。最後までなんてツンデレ。
雪うさぎは、彼女の小さな手で一番作りやすかったんでしょうね。


●「人魚姫」
ハロウィンと勇者の冒険。
ネトゲ廃人の17歳の少女が主人公。
これはシリーズの設定を逆手に取った展開ですかね。
通常、たそがれ堂=不思議なところですが、彼女にとってはリアル世界の入り口になっている。此岸と彼岸が逆転しているところがユニークでした。


●「魔法の振り子」
この作品は黄昏ホテル系列ですか?
この本の中でやりきれなくなった作品。
31、2歳の小説家の女性が主人公。
過去回想部分のほのぼの具合も、1人暮らしの主人公のリアルさもいい。
しかし、ここまでセッティングしておいて! 薫の方に感情移入すると悔しくてならない。旅には出たかったんだね。
突っ込みどころはドレス。10年間押入に入れっぱなしの服は危険です。うん、ファンタジー。


●「エンディング~ねここや、ねここ」
猫好きを萌え殺すための最終兵器。
戦国の昔、海辺の小さな国で領主の若君に飼われていた猫が主人公。
「十二国記」の小松尚隆と彼の国を思い出しました。あそこはもっと貧しい国でしたが。
『黒地に白菊と曼珠沙華の模様』って、どんだけ不吉な浴衣。
分かってはいても長刀部のところで、ぐあぁっときました。王道な物語には、やはり王道たる所以がありますね。



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