あ、UPしてなかった | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


先週記事を上げ忘れた本。


「骨肉」/明野照葉/中公文庫。

骨肉 (中公文庫)/明野 照葉
¥820
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長女・真子。
30代の几帳面な主婦。2人の子持ち。

長女気質で妹たちに小言を言うのが癖。
デジタル恐怖症。

次女・聖美。
30代独身IT系バリキャリ。
行動力があり、人への口撃も鋭い。
家事が苦手。

三女・美善。
29歳独身OL。
引退した父と実家2人暮らしの恋に恋する乙女。
甘えたがり。


ある日、3姉妹を集めた父は渋谷ギャルを連れて帰宅した。
そして、こう言う。

――この子はお前たちの妹だ。



現代に生きる、極々普通の恵まれた家庭の3姉妹を中心にした一大騒動記。

プロローグのあっけらかんとした親子と、序盤の3姉妹の怒涛のような愚痴の対比が凄まじい。両極端。
彼女たちの心情が。こういうことを考える女性もいるんだなと、逆に興味深かったぐらい責任転嫁。別れた男まで引っ張りだす三女怖ぇ。


四女(?)の阿子が来てからの展開はいい。
今まで他力本願だったり自助努力の足りなかった部分のある3姉妹が、積極的に幸福(=父の財産;)を掴みにいくところは結構面白い。

自分の欲求に素直な土偶のような阿子ちゃんの内面描写はなく、3姉妹ならずとも彼女の心情を推し量りたくなってしまう。
面白い子だ。


このまま大団円かと思わせておいて、次の展開があったのが嬉しかった。
父、策士だな。

骨肉の争い、じゃなくて「骨肉」なんです。