じゃ、予告どおり。
★「ダリの繭」/有栖川有栖/角川文庫。
文庫の表紙は予告記事を見てくれい。
http://ameblo.jp/grayground/entry-10242899841.html
★新版「ダリの繭」/有栖川有栖/角川書店。
新版の表紙は黒地に銀。
- ダリの繭/有栖川 有栖
- ¥2,100
- Amazon.co.jp
サルバドール・ダリに心酔している宝石商・堂条秀一。
四月十五日の夜、
ダリ髭が特徴の有名人はこの世の春を満喫するがごとく幸せそうであった。
しかしその週末、彼は六甲の別荘で意外な姿で発見されることになる。
秀一の弟である専務・秀二
美人秘書・鷺尾
老境の営業部長・湯川
商品企画室長・相馬
宝飾デザイナー・長池
マネージャー・五十嵐
広告代理店社員・吉住
堂条ジュエリーを巡る人々それぞれの思いが、
事件をさらなる混沌に仕立て上げていく。
ひたすら錯綜する、時系列で整理してもしきれない事件の枝葉をまとめ上げると、
最後に一枚の絵が浮かび上がる。
これを鑑賞するには、外から眺めなくてはならない。
そう、読者はすでに特等席に招待されているのだ。
事実が露わになるごとに重ねられる推理の多重構造がテンションを保っていてよい。
火村シリーズにしては珍しく、事件を形づくるためだけではない心理描写が絡みまくっているため、最終章のせつなさと納得感は群を抜いている。
野上刑事とカナリアの美女真野さんは今作が初登場かな。
野上さんは、部外者の火村と反りの合わない現場叩き上げの部長刑事。会う度に挨拶代わりに皮肉をおっしゃるかたです。
真野さんは有栖の隣人。最近見かけないな(笑)
新版単行本には、おまけの後日談「シュルレアリスムの午後」が収録されていて、ちょっとお得感?
ダリと靉光とミステリーが好きなかたに、力いっぱいオススメの作品でした。