ブラジル蝶 | 猫の島調査報告書

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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


強化期間も後2週間。
そろそろラストスパートに入りたい気持ちはありますが、焦らず続けていきます。

今日は、
火村さんの言動が楽しくなってきた作家有栖の国名シリーズ3弾。
「ブラジル蝶の謎」/有栖川有栖/講談社ノベルス、講談社文庫。


ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)/有栖川 有栖



¥580
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「ブラジル蝶の謎」
殺人現場の天井には一面に蝶が!
ジャンル(密室とかアリバイ、館ものなど)を言うとネタバレになるので説明しにくい作品。ストーリーはドロドロな典型的な火村シリーズの短編。


「妄想日記」
残されたのは独自の文字で記された日記。彼はどうして焼身自殺を図ったのか。
探偵は妄想日記を読み解くことができるのか。
後味が悪い、やるせない気分になる。


「彼女か彼か」
予想外のニューハーフな語り手登場。この時期は、有栖以外の語りで進むこと自体も珍しかった。
事件は題名どおり。とても真面目な話だが、色物に分類されることが多い。


「鍵」
ホテルに缶詰めの有栖のもとへ来た火村が、茶受け話にと話す小品。
謎は割合きれいに解けるが、読み終わってガックリ来ても仕方ないような。オヤジめ。


「人喰いの滝」
「奇想の復活」で初出。
雪道を川に向かって歩いていく足跡。
絡み合う人間関係も舞台設定もいかにもで、収録作の中でミステリ作品的に一番好み。謎解きシーンの緊張感が◎。


「蝶々がはばたく」
カニっ食っべ行こー♪ な旅行中ミステリ。
蝶つながりでこの本に収録されて良かった。トリを飾るに相応しいキレイな話。

以上、6編収録。