少々季節はずれではございますが、今宵の月の明るさに免じていただければ幸い。
一話、ご紹介。
五色沼にほど近い宿。
西の国からやって来た語り部が、心安らに眠っております。
そこから雪道をたどりますれば、林の向こうに絵本作家の家がございます。
禿頭の主人に美しき妻、優しき祖母と祖父が稚ない子を想い、寄り添いつつましく暮らす館。
妻の故国を思わせるそれを、人びとは『スウェーデン館』と呼んでいました。
ところがところが
眠りから覚めると、悲報が待っていたのでございます。
ゆうべ語らった人が不自然な死を迎えたというではありませんか。
事件の1幕が終わるころ、"風のように"探偵が現れて
レモン色の月の照らすなか、雪中より足跡を掘り起こすのです。
現れた足跡はどこまでもどこまでも続き
果ては真実の座標へとたどり着いたのでした。
「スウェーデン館の謎」/有栖川有栖/講談社ノベルス、講談社文庫。
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作家有栖・国名シリーズ第2弾。
ミステリとしては初級編だろうか。きれいな雰囲気と創作論が主題であるように感じる。
悲しく美しく始まった物語は、そのままに哀しく幕を下ろし、探偵はまた打ちひしがれるのだ。
学生アリスの事件が夏のイメージなら、作家には冬かと思う。
散りはじめの桜を雪に見立てて、季節を遡ってみた。
ではまた
グ・ナット(´ω`)ノ