風は強いし雨降ってくるし変な天気ですねー。
- 猫を抱いて象と泳ぐ/小川 洋子
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リアルタイムでは、小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」の2回目読み途中なんですが、今日はこっちの感想上げておきます。
短編集は残して置かないとざっくり忘れますな。
「紙魚家崩壊」/北村薫/講談社ノベルス。
- 紙魚家崩壊 九つの謎 (講談社ノベルス)/北村 薫
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北村節全開。
「ミステリ風味の小品を集めてみました」との著者の言葉通り、全てが本格ものではないが、充実のラインナップ。
以下収録作&覚書き。
・「溶けていく」
健康食品会社に勤めるOLの日常を描いた作品。たまたま読んだ漫画に上司そっくりのキャラクターがいたことから、彼女の日常が変質していく。
意外や意外のサイコサスペンスだった。
気をつけないと起こり得そうなところが怖い。
・「紙魚家崩壊」
題名から想像して、そりゃあないだろうなと思ったままの内容(笑)
本を愛するほどに非常に胸が痛くなる。こちらも気をつけないと起こり得そうだ。
途中の数式が非常に納得感があって嫌。
・「死と密室」
「紙魚家~」と同じ探偵&助手シリーズ。
引退したミステリ作家の老人ばかりが集まっているアパート『幻の園』。
このオーナーからの殺人立会いの依頼を受けて、探偵はやって来る。
これ以上書くとネタバレるので書かないが、展開には賛否両論出そうだ。ラストが綺麗。
・「白い朝」
これ大好きだなぁ。
ある女性の語りのみで進む作品。日常のことや子供時代の思い出がぽんぽんっと披露される構成と文章力に脱帽。なんだかんだ言っても巧い。
本筋に関係ないが、思い出にでてくる落語好きの少年は某シリーズの探偵だろうか。
・「サイコロ、コロコロ」
編集者・千春さんシリーズ。
映画を見に行く最中に出会った、サイコロについての日常の謎系の作品。
・「おにぎり、ぎりぎり」
同じく、千春さんシリーズ。
山歩きの途中にふっかけられた、おにぎりについての日常の謎系の作品。
「サイコロ~」以上にくどい。
・「蝶」
お見合いというかご紹介の場に、男性が来られなくなってしまい、女性と紹介者の夫が一緒に食事をすることになったという設定。
蝶への解釈がちょっと微妙に嫌な感じがしたが、語りが巧い。1人称が巧いので気持ちいい。
これでベタベタした作品にならないのが不思議だ。
・「俺の席」
定時に電車通勤をしているとより実感のあるショートショート作品。
ラストの転換が良かった。状況設定に過不足なかったな、と題名を見返して思った。
・「新釈おとぎばなし」
前半は「蟻とキリギリス」についての考察、
……から大変なことになっている。作者はカミだがカミュか、カミュなのか?
そういえば明治頃の雑誌で見たのは「ありとセミ」だったなぁ。挿し絵も完全にセミ。セミとキリギリスって近いのか?
有栖川の「黒鳥亭殺人事件」でも、さらっと作家有栖の「蟻とキリギリス」解釈が入っていたが、ミステリ作家にとって気になる小話なんだろうか。
後半は「かちかち山」についての考察
……から、現代っぽい設定のミステリとしての解釈を盛り込んだ創作「かちかち山」。
読んでいる最中はくだらな過ぎて涙が出てくる。ラストは、良い意味でミステリ的解決を付けていた。たぬき可哀想すぎる。
両方ともとても面白いのに北村節が強すぎてつらい。(特に、かちかち山)
北村薫は大好きなのだ。
だが、この本を最初から一気に読むことはオススメしにくい。
個人的に北村節が鼻につく感覚が強かった。間に他の本を挟んで読み進めた方が良いと思う。
しかし
胸焼けしそうだが、面白くてやめられないというアンビバレンツ。