なかなか写真が撮れないので「双頭の悪魔」の感想が上げられません。(←そんな理由で;)
仕方がないので、貯めこんでいたメモから1冊。
実はUPする機会を逸した本は沢山有ります。読書メーターさんの検索にかからないのとかも。
「千羽鶴」/川端康成/新潮文庫。
- 千羽鶴 (新潮文庫)/川端 康成
- ¥460
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積ん読から1冊。
1ページ目から衝撃のシーンでございました。
幼い主人公が父親に連れられて行った先の家、そこでは見知らぬ女性が胸のあざに生えた毛を切っていた。
父の訪いを知っても肌を隠さなかった女性は、つまり父の愛人だった訳ですが、まだ子供の主人公には具体的な関係は解りません。ただその黒いあざがはっきりと脳裏に刻まれる、という冒頭。
読者にもあざの印象が植え付けられます。
主人公・菊治は長じて、そのあざの有る茶の湯の師匠から茶会にかこつけた見合いに呼ばれる。
師匠の栗本ちか子。
千羽鶴の風呂敷を持っていた見合い相手・稲村のお嬢さんこと、ゆき子。
長らく父の愛人であった太田未亡人。
太田未亡人の娘、文子。
主人公の周りを女性達が美しく舞う。
太田未人が掴みどころなく「女」であるのが心地いいやら怖いやら。途中退場が惜しまれました。
栗本が引っ掻き回してくる意図が読めなくて、その辺りの突拍子のない展開はなかなかサスペンス。太田未亡人とは父を巡って争うように主人公を取り合っているようにも見えたが、また娘達をも巻き込む執念がげに恐ろしい。
しかし、主人公は流され過ぎでしょう。優柔不断とは違うが自己嫌悪に陥りそうな流され具合でしたね。
どろどろした要素には事欠かない内容なのですが、描写が都度美しい。主人公が感じ入る場面ごとに清々しい気持ちになる本でした。
茶道やお道具に知識が有れば、もっと楽しめただろうと思います。